第45話 やり過ぎいくない。

 夢の中で僕は柴犬のナツコの腹毛や耳を撫でまわしていた。

 温かくてふわふわで気持ちいいんだよ。

 散歩行った後の満足してまったりしたナツコといる穏やかな時間。

 もしも戻れるならナツコと散歩したいなあ、って思っていたからかな。


 でももう出来ないってわかってる。

 僕はで生きていくんだ。



 ×××××



 まつげに風を感じて目を開けた。

「ぅ…ん」

 ぼんやりと見上げた天井はずいぶんと高くドーム型に見える。

 日本の家じゃないけど、異世界の宿屋でもない。

 あるぇ?

 まさかまた違う世界に…ッ!?

「…ッ!痛ぁ~」

 慌てて飛び起きたらガツンと頭に痛みが走って頭を抱えた。

 起きた途端すぐうずくまる羽目になるとわ。

 うんうん唸って痛みに耐えていたらすぐ近くから笑い声が聞こえてくる。

「くっ…ぶふ、お、落ち着っははははは!あー、悪い…………くっくっく」

「うぅっ、もう…いいですよ。笑っちゃってください」

 看病してくれてたカインさんに頭突きをいれてしまったらしく後ろでカインさんも無言で悶えている。

 笑われたのは恥ずかしくて顔が熱いけど、…大声で笑うガザシさんが元気そうでホッとした。


 魔力切れで気を失った僕と右腕を失ったガザシさんはカインさんが教会で寝かせてくれたらしい。

 街で何か(災害や戦など)あったときの避難場所になっているんだって。

 今も僕ら以外にも沢山家を無くした人達が礼拝用の椅子を端に寄せて、床に布を敷いて座ったり寝たりとそれぞれに過ごしている。

 …って、そう言えばその殆どの家消したの僕じゃない?

 オーバーキルな魔弾作っちゃった僕のバカァ!!

 今度は別の意味で頭を抱えてしまう。

 彼らに償うにはどうしたら…とりあえず復興資金に※金貨一袋はいっとこうか!?

 あと、謝罪…!

「あー…あのな、坊主がやったことはやり過ぎはあったけどみんなそのお陰で命が助かったんだぜ?」

「えっ?」

「いや、ぶつぶつ言ってたぞ?まあいい、だからな?恩義を感じこそすれ謝って欲しいなんざ思っちゃいねえよ」

 つい口に出していたらしい悩みに答えてくれたガザシさんの言葉にまばたきする。


「あの魔物は、この街にいる自警団でどうにかできるレベルを越えてたんだよ」

「…レベル?ですか?」

「そうだ。坊主がいなきゃあぶっちゃけ街が壊滅してただろう。だからむしろ胸を張っていいんだよ」



 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 ※現在金貨約一万枚=一億円ほど所持してます。麻袋三つです。魔道石は一つしか売ってませんでした。いきなり各属性全部売ると市場崩壊とか大事おおごとになるので質屋とカインが調整した結果。ふわっと価値観です。

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