《07-08》
「明日の放課後、臨時集会を開くのだ。そこでルールを変更し、特別に二時間の戦闘許可を伝える。これなら問題はあるまい」
「確かに問題はありません。ありませんが……」
「更に一手進めて、集会前に武装風紀委員を寮に向かわせておこう。戦闘許可と同時に寮に踏み込ませ、一気に偽者を確保する。どうだ? 完璧なプランであろ?」
「それは名案です。流石はまろみ様」
すぐさま賛同する函辺。だが、凛華は違った。
「そんな奇襲に近いやり方は賛成できません。生徒会は正義を持って行動するのが理念のはず。目的の為に手段を選ばないとも言える方法に正義があるとは思えません」
「凛華よ。理念は大事だが、大義を見失ってはいかん。我らの目的は学区をまとめ、正しい形にすることだ。その障害たる『ハルベルデ』を排する絶好のチャンスなのだ」
「ですが、まろみ様」
「もういい、議論は終わりだ。支度を進めておけ。これは命令だ」
命令と言われて、凛華が不満そうに唇を噛む。
「復唱はどうした?」
「はっ、了解しました。準備を整えます」
「寮には自分ら武装風紀委員第一班が踏み込みます。日頃の訓練の成果を御覧に入れます」
函辺が胸を張って主張する。
その心強い態度に頷きかけたまろみだったが、なんとなく違和感を覚えた。
こういうやり方を函辺は好まない。彼女は実直で潔癖な人間だ。
もしかすると、地下牢からまろみ達を助けたのは函辺ではないだろうか。
武装風紀委員という戦力を持ち出し、何か企んでいるのではないか。
第一班の連中は函辺に従い敵に回った実績もある。
「その手に乗ってやるわけにはいかんな」
まろみがぼそりと呟いた。
「いや、寮には武装風紀委員三班全員を向かわせる。総指揮は幸一。補佐に誠二をあてる」
「そんな! お待ちください!」
「お前は怪我が治っておらぬ。今回は休んでおれ」
「しかし、自分は武装風紀委員委員長としての責任があります」
「小鬼田さん、まろみ様のお心遣いを理解しなさい。まずは怪我を治すことが先決です」
納得いかない函辺を凛華がやんわりと嗜める。
「函辺よ。お前は大切な側近の一人だ。痛みを堪え、無理をするのを見ていたくないのだ」
「解りました。お心遣い感謝いたします」
力の抜けた声で敬礼する函辺に、まろみは満足そうに目を細めた。
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