《06-23》
「頼まれるまでもないさ。偽まろみのやり方には、気に食わないんでね。一発くらいぶん殴ってやらないと気が済まない」
物騒な言葉を添えつつ、函辺が同意を表す。
「お前も依存ないよな。凛華」
「もちろん私も、いえ」
反射的に頷こうとした首を、横に振った。
「私にはできません。何故なら、二人がここから去ることが最良であると思っているからです」
「お前、まだそんなこと」
「できる限りの支援はさせて頂きます。それでお許し下さい」
一方的にそう告げると、くるりと踵を返した。
「あの、待って。待ってください!」
「残念ですが、貴方は私の仕えるまろみ様ではありません」
冷たい一言で迷いを断ち切った。
その目に黒い決意が宿る。
副官として近い位置にいる自分だけにできることがある。
執務室で二人になった時がチャンス。刺し違えてでも、やってみせる。
「待つのだ、凛華」
若干低くなったまろみの声に、踏み出そうとした足が止まった。
「お前の考えくらい、余が見抜けぬとでも思っているのか?」
何かに引っ張られるように、ゆっくりと振り向く。
そこに立っていたのは、薄い胸を張り、勝気な表情を浮かべたまろみだった。
急な変化に春乃が驚きで固まる。
函辺もただ目を丸くしていた。
「凛華よ。お前の役目は余の傍らに立ち、常に余を支えることであろ。違うか?」
「そ、それは」
「違うのか?」
「いえ、仰る通りです。ですが、今の私はまろみ様に仕えるに値しない……」
「値するかどうかを決めるのは余だ。それともお前は、余の決定に異を唱えるか?」
「いえ、まろみ様の決定は絶対です」
「ならば御形 凛華よ。お前は副官として余を支えるのだ。これからもずっと。今までの様に」
「で、ですが……」
「ん? 余に、絶対支配者であるこの菜綱 まろみに逆らうのか?」
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