《04-15》
※ ※ ※
寮は五畳二部屋。
凛華は片方にベッドと衣装タンスを配して寝室、もう一方にミニテーブルとクッションを置いてリビングとしている。
リビングの床にはパステル調のミニカーペットが敷かれ、壁際の棚には愛らしいヌイグルミ。
部屋の隅にあるカラーボックスには少女マンガ。
意外に女の子らしい部屋だ。
テーブルを挟んで春乃と函辺が談笑する事約十分。
ジャージ姿の凛華が部屋から出てきた。
目が少し充血しているが、それ以外はいつも通りのクールさが戻っている。
「先ほどは失礼致しました」
深々と頭を下げる凛華に、春乃が慌てて立ち上がった。
「僕は全然気にしてませんから」
「ありがとうございます。身勝手なお願いだとは思いますが、全てなかったことにして頂けると助かります」
「はい。解りました」
「クールな副官様が、乙女チックなおパンツを履いてるなんて忘れて欲しい事実だよな」
「パンツの!」
怒鳴りかけたところで、小さく咳払いをして言い直す。
「下着の話をしているのではありません」
「いやいや、なかなか可愛かったよ。グリーンのパステルドット」
茶化す函辺に凛華が頬を赤らめる。が、感情的な反論は避けた。
くいっと左手で眼鏡を上げて一呼吸。十分に気を整えてから反撃を開始する。
「お褒め頂きありがとうございます。小鬼田さんが今付けているオレンジの下着もお似合いですよ。プチリボンがとっても素敵です」
図星だったのか、函辺の顔色が変わる。
胸元を隠しながら腰を上げた。
「この前モールで一緒に買った下着は四種類。貴方の好みを考えれば、どの順番でローテーションしているか簡単に推測できます」
「だ、だからって、わざわざ男子の前で言うことはないだろ」
「最初に言ったのは貴方でしょう」
「なんだよ、その言い方。あ、解った。自分のサイズが小さいからって嫉妬してんだろ?」
「さ、サイズサイズって二言目には、そればかり。ハッキリ言わせて頂きますが、胸は下品に大きければいいという物ではないんです」
「誰が下品なんだよ! 魅力的って言うんだよ!」
「彼氏の一人もできない人間のどこに魅力があるのやら、ゆっくりお伺いしたいですね」
「彼氏ができないのは、お互い様だろ! この冷血爬虫類女!」
「な! それなら貴方は凶暴ゴリラ女です!」
顔を突き合わせ、遠慮のない言葉をぶつけ合う二人に春乃が頬を緩める。
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