海外製のオープンワールドRPGだと、実際に「主人公が比較的ゲームスタート直後から、いきなり町中でNPCを斬り殺して犯罪者扱いされた挙句、牢屋へ投獄される」というような展開は、案外プレイしようとすれば実行可能なシステムだったりするんですよね。
さすがに痛覚その他の生理現象とか、現実のプレイヤーの身体能力まで反映されるようなゲームが作られることはないと思いますが、私は海外ゲームがけっこう好きなこともあって、この徹底的にリアルなRPGという設定が非常にツボでした。
で、リアル志向なゲームって、自由度の高さが一周回ってむしろギャグにしか思えないようなことが本当にあると思うんですが、この作品はそういった部分を未来のVRゲームという題材でメチャクチャに先鋭化し、見事なコメディへ昇華させています。
はー、笑った笑った。
極めに極め尽くした現実感をモットーとした一本のVRゲーム。
冒頭からその恐るべき機構の一端を垣間見ることになるのですが、
いやぁ、コレはもはや疑似体験というより維持体験でしょ! 終始笑いが止まりませんでした。
手に入れる経緯。脈絡もなく進行しちゃう導入。没入するというより強制的な没入を強いられるシステム。
ありとあらゆる要素が笑いに収束するといっても過言ではありません。
キャー普段は冴えない男子高校生である主人公様が覚醒して強敵をやっつけたわステキ結婚してーなどと言い寄られる安易な展開なんて億尾も見せません。
主人公の功績すらすべて笑い所に取って代わってしまう素敵ワールドです。言うなれば――
自分では絶対にプレイしたくないけど、
他人が四苦八苦する反応を見せて初めて成立するクソゲーのプレイを眺めるような愉悦。
主人公という敏腕ツッコミ師がいてこのゲームは初めてゲームで足りえるのだと認識しました。
メタ視点ならではの擬似的没入を味わう新感覚ノベルを、
皆さんも是非楽しみましょう! ではまた、本日もお疲れ様です。