119 理性的な狂人/悪意は蠢く
フェンの腕から魔法陣を除去する作業――もはや手術と呼んでもよいかもしれない――は終了するまでに三時間ほどもかかった。
岩と見紛うほどに硬化した皮膚に尖らせた〈腕〉を差し込み、剥がし、すぐさま治癒する。しかし、肉体は記憶を持つかのように振る舞い、岩の皮膚を再生させる。それを何度か繰り返してようやく、彼の肌は元の柔らかさを思い出していった。
フェンは布を噛みしめ、痛みと叫び声をひたすら堪えていた。その苦しみは魔法陣を入れ墨として刻み込んだときの比ではないだろう。それでも、彼は泣き言も口にせず、苦悶の呻きを押し殺し続けた。
入れ墨は傷だ。しかも、それを自分で彫らなければならないため、力の加減は非常に難しい。フェンの傷痕は皮膚を越え、肉の部分にまで達していた。その部分まで削るのは限度の超えた苦痛が伴う。そうなると解決方法は一つしかない。
魔法陣は他人の手により効果を失わせることができる。一つ一つの文様、その連なりには意味があるのだ。僕はエルヴィネの指示で魔法陣が意味をなさなくなるようにフェンの身体に傷を入れていった。
すべての作業が終わったあと、フェンは魔法陣が発動しないことを確かめると少しだけ寂しそうな顔をした。治癒魔法の効果で傷が癒えたとしても、痛覚の記憶は残っているはずだ。治癒魔法の副作用だってある。しかし、彼ははっきりとした声で静かに呟いた。
「不思議なものだな……身体が軽くなったような気さえする」
「……きっと元に戻っただけよ」エルヴィネは目を細める。「それがあるべき姿」
「そうか……そうかもしれないな。しかし、これからが大変だ。詠唱をしないことが癖になっている。また鍛え直さなければいけない」
「……付き合ってくれる人ならたくさんいるよ」
僕がそう言うとフェンは小さく笑い、頷いた。睡魔が遅れてやって来たのだろう、彼は目を瞑るとすぐに眠りへと落ちてしまった。僕は彼を〈腕〉で抱え、二階の寝室へと運んだ。
「終わったようだな」
ウェンビアノが声をかけてきたのは寝室を後にしたときだ。彼の能面のような表情にも暗い澱みが浮かんでいる。積み重なった疲労とフェンの一件の心労だろう、長い息を吐き、僕の肩に手を置いた。
「私からも礼を言っておこう。……ずっとお前に頼ってばかりだな」
「気にしないでください、ウェンビアノさん。僕だってずっと面倒を見てもらってるんですから」
「……今日のところは休んでおけ、と言いたいところだが、少しいいか? レングさんと三人で話をしたい」
「構いませんけど、どうかしたんですか?」
僕の質問にウェンビアノは答えなかった。立ち話で済ませられる要件ではないようで、それ以上訊ねず、彼のあとをついていくことにした。
到着した書斎ではカンパルツォが難しそうな表情をして椅子に腰をかけていた。彼らしい豪快さは鳴りを潜めていて、やはり、戦争というものの重大さがひしひしと伝わってくる。僕はあくまで戦う人間でしかない。戦いの用意を万全とする人間が直面する困難さは分からず、発すべき言葉を掴めなかった。
「ああ、ニール、すまんな。座ってくれ」
「はい……それで、どうかしたんですか?」
「いやなに、今後のことを説明しておこうと思っただけだ」
「今後?」
今後、とはどのくらい先のことを示すのだろう。僕に残された今後など長くはない。
「……エニツィアのために戦うお前にはこんなことを聞かせたくはないんだがな」
「レングさん、回りくどいですよ」立ったままのウェンビアノが責めるような口調で急かす。「我々もニールも疲れています」
「分かっている」
「それで……どうしたんでしょうか?」
カンパルツォは小さく頷き、答える。「……戦う人間は勝つことだけを考えてなければいけない。だが、我々は負けた場合のことも考える必要がある」
負ける。
その一言に心がざわついた。胸の中で無数の羽虫が蠢くような感触がする。息を吸うが、肺にまで届いていない気がした。
「ウェンビアノに叱られたからな、簡潔に言っておこう……もし、敗北した場合、おれは殺されるだろう。寂しいからその場合はウェンビアノにもついてきてもらうが」
「お断りします」
すげない拒絶にカンパルツォは笑いを漏らす。彼らには無理をしている様子などなく、どうして、と疑問が弾けた。
どうして、そんなことをおどけながら、明るい声で言えるのだ。多くの人のために尽くしてきたカンパルツォやウェンビアノが殺されるなど不条理に過ぎるのに。
そこまで考えたとき、僕ははっとし、何も言えなくなった。
カンパルツォは老齢だからといって捨て鉢になっているわけではない。彼の中にあるのは揺らぐことのない死への覚悟だ。誇り高く生きようとする貴族としての意地が彼の精神を支えている。
「軍人となったお前にこんなことを言うのはエニツィアへの不忠かもしれんが……おれの名誉が穢れたとしても頼んでおきたい。ニール、もしお前が勝てる見込みのない戦いだと考えたなら――ベルメイアやアシュタヤ嬢を連れて逃げて欲しい」
「……それは」
ウェンビアノが険しい顔で補足する。「ヤクバやセイク、レクシナには話しておいた。マーロゥやヨムギにも言うつもりだ。フェンは了承したが……あれは形だけだな」
「ニール、頼まれてくれるか」
躊躇する。安請け合いすることは簡単だったが、できる限り嘘は吐きたくなかった。
カンパルツォやウェンビアノは恩人だ。居場所を与え、守ってくれた。
そんな彼らに隠し続けることはもうできそうにもなく、僕は静かに口を開いた。
「わかりました……ただ一つ、お伝えしなければいけない問題があります」
「問題?」カンパルツォは顔を顰める。「なにがあるのだ?」
「戦いが始まるそのとき――僕はたぶんその場にいません」
その一言で空気が止まった。
カンパルツォの表情が強張り、ウェンビアノも眉間に皺を寄せている。彼らは互いの反応を探るように顔を見合わせ、それから説明を促すように視線を戻してきた。強い疑問と叱責を浴びる予感に、僕は拳を握る。
「今まで黙っていて申し訳ないと思っています……夏、バンザッタでギルデンスに言われたんです、『使いを寄越す』と。理由はともかく……あいつは僕と戦いたがってる、僕を殺そうとしているんです。だから僕は一人であいつと――」
「――なぜそれを早く言わなかった!」
全身に痛いほどの振動が走った。カンパルツォが立ち上がった拍子に木製の椅子が大きな音を立てて転がる。僕の元まで駆け寄ってきた彼は両手で僕の肩を掴み、揺らした。
「ニール、お前、何を考えている! 一人であれと戦うなど……!」
「あ、あの」
怒りのにおいが充満している。だが、鼻を摘まみたくなるような悪臭ではなかった。バンザッタで再会したキーンが発していたにおいと近い。カンパルツォの瞳には僕の姿が映っていて、喉が詰まった。
「伯爵さま」と何とか言う。「聞いてください」
「レングさん、落ち着きましょう」
ウェンビアノはカンパルツォの腕に手をかける。彼からも怒りのにおいが揺らいでいた。
制されたカンパルツォは何か言おうとしたが、それを飲み込む。強く歯を食いしばり、ゆっくりと息を吐きながら一歩退いた。
「……ニール」ウェンビアノが静かに訊ねてくる。「お前が前線に出ることに私たちは心から賛成しているわけではない。だから、その場にいないことに関しては何か言うつもりはないのだ。『太陽』が使用されても被害が最小限になるように努力をしているし、兵もできる限り揃えた。……だが、ギルデンスと一人で戦うとはどういうことだ?」
二人の視線が確かな強度で僕を貫く。静かな書斎には雨音のさざめきが満ちていた。
「伯爵さま、ウェンビアノさん……お二人が戦力としてではなく、僕の心配をしてくださっているのはありがたく思います。きっとこれを打ち明けたらギルデンスを討伐するために戦力を裂こうとしてくれることも」
「当たり前だ!」カンパルツォが声を荒げる。
「意地を張る理由などないだろう?」ウェンビアノは不可解さを滲ませる。
「違うんです」僕は誤解がないよう、はっきりと伝えた。「ギルデンスが寄越してくる使いは見当がついているんです。ディータ……ディアルタと言えば分かりますか?」
二人はそれだけで事情を理解したようだった。ウェンビアノが「……転移術士の娘、か」と舌打ちをし、カンパルツォは深い溜息とともに頭を抱える。
「言いたいことは分かった。転移魔法を用いてお前だけを連れて行く、そういうことだな?」
「ええ、頭数を揃えても彼女が拒否すれば意味がありません」
きっとディータはギルデンスを裏切らない。アノゴヨで聞いた限り、彼女にとってギルデンスは恩人であり、心の支えなのだ。十五歳ほどの少女に感情を投げ捨てる決断ができるとは到底思えなかった。
たとえそうしようと決意を固めていたとしても、恩人を殺すためだけに集まった人間たちを目にしたとき、気持ちは容易に揺らぐだろう。
「だが」そこでウェンビアノが疑問を呈した。彼は冷たい思考を表情に滲ませている。「罠と言うことも考えられる。お前を別の場所におびき出してこちらの戦力を削ぐ狙いがあるのではないか?」
「いえ……たぶん、それはありません」
「どうして断言できる?」
「それは……説明が難しいんですけど、なんというか、ギルデンスは僕を殺すことがエニツィアを滅ぼすための条件だと思っているみたいです」
馬鹿馬鹿しい、と言いたげに二人は顔を歪めた。その一方で、ギルデンスという人間を理解することなどできなくて当たり前だと確信しているような雰囲気もある。彼らは苛立たしげに奥歯を噛みしめていた。
長い沈黙のあと、カンパルツォは重いうなり声を発し、ウェンビアノに目を向けた。
「まずいな。ニールの言うことが真実だとしたら迂闊に止めることもできん」
「ええ……内通者、ではないでしょうね」
「それが面倒だな。確実に予備もあるだろう」
「今から時間を取るのは現実的ではありませんね」
僕をおいてけぼりにして二人の会話は進んでいく。内容が掴めずに困っているとカンパルツォが小さく咳払いをして、ウェンビアノとの会話を中断した。
「あの、どういうことでしょう……」
「雁字搦めにさせられているのだ」
「……えっと」
「つまりだな」カンパルツォの声は沈んでいる。「最悪はニール、お前が騙され、ギルデンスが戦いに参加してくる場合だ。そうならないよう、おれたちはお前を止めなければならん。だが、そうではなかった場合、ギルデンスはどうする? 大人しく待ちぼうけを食らうはずがないだろう?」
小さく頷き、整理を始める。
もし僕がギルデンスの元に向かわず戦争に参加したならば、彼も前線へと出てくるだろう。ディータを拘束すれば問題はないかもしれないが、ギルデンスが僕より先に決戦の場にいるとも限らない。
そこまで考えたところでウェンビアノがその先を口にした。
「ディアルタ嬢がお前を迎えに来るということはこちらの陣内に転移魔法陣が仕掛けられていると言うことだ。まさか、歩いてくるはずもない」
「……あ」そこでようやく気がついた。「僕がいなかったら内側からギルデンスが来るっていうことですか?」
「私ならそうする。手っ取り早く陛下を害し、それからゆっくりと士気が低下した軍を叩くだろう。敵は正当性を欲している、とお前は予想していたが、こちらがその約定を破ったのならなりふり構わないかもしれない」
「でも、転移魔法陣を消せば……効力を失わせるのは魔力がなくてもできますよね。なら軍人じゃなくてもレカルタの市民に総出で探させれば」
「魔法陣を持っている人間が気付かない可能性もある」
「持っている?」
「忘れたのか?」
ウェンビアノは鋭い目で僕を、僕の奥底にある記憶を睨んでくる。
いったい僕は何を忘れているというのだ。考えても一向に答えは出ず、黙ったままでいると彼はゆっくりと一度、まばたきをした。
「お前が私たちのもとを離れた『公認盗賊の森』での戦いだ。あそこで敵は罠を仕掛けていたんだったな?」
「ええ、レクシナが触れた鉄線――」
ぞくり、と背筋が震えた。
持ち運びができる魔法陣――その存在を思い出した瞬間、捜索の無意味さを強く認識した。どれだけ魔法陣を潰しても一度探した場所を二度は探さないだろう。また、捜索範囲も平面から立体へと変わる。「公認盗賊の森」でのように木の上に仕掛けられていたら容易には気付けない。
ましてやこの時期レカルタには多くの行商が集まっているのだ。魔法陣の知識などない一般人が民芸品か何かだと誤解して購入していたらそれだけでこの街に穴が空いていることとなる。
「何より面倒なのが」カンパルツォは僕の横にある一人がけのソファに腰を下ろした。落ちるような勢いだった。「ギルデンスはその鉄線を一度使ったということだ……。この結論に辿りつけと言わんばかりにな」
カンパルツォは指を組み、震えるほどに力を込めて握っていた。ウェンビアノは何も言わない。
「でも! ……あの時点でそんなことをする意味なんて」
「狂人の考えることなど類推しても意味はないが……最初はフェンくんがお前の立場として選ばれていたのかもしれん。あるいは別の理由があったか……お前がこれほどの力を持つことを予想していた可能性もある。知られたとしても大して問題はないだろうしな」
カンパルツォの言うとおりだ、ギルデンスの思考など理解できるはずがない。むしろ考えれば考えるほどどつぼにはまるだろう。
しかし、一つだけ、僕へと狙いを定めた合理的な理由に思い当たった。
ジオールだ。
メイトリンで現れたジオールは一度ギルデンスと対峙している。直接戦いはしなかったもののフーラァタとの戦いを見ていたならばジオールの力を推し量るのは難しくないはずだ。
そのときジオールを敵として、あるいは僕がジオールと同等の力を持つまでに――エニツィアの化身として認めるにたるまで成長すると推測できてもおかしくはなかった。
ウェンビアノは壁に寄りかかり、嘆息する。彼は腕を組みながら歯ぎしりをした。「皮肉なものだな……ここに来てあの狂人を信じなければならないとは」
その言葉を聞いて体温が上昇した、気がした。
ギルデンスのやり口はいつも変わらない。
人々の希望や信頼、そういった善なるものを逆手に取り、道をねじ曲げる。彼は人のもっとも強い力が清爽な善であることを知っているのだ。
「……伯爵さま、ウェンビアノさん」僕は立ち上がり、静かに二人の目を見つめた。「お願いがあります」
カンパルツォが顔を上げる。「……なんだ?」
「ギルデンスではなく……僕を信じてもらえませんか? 僕が……あいつを、消します。戦争も絶対に敗北しないよう全力を尽くします。だからどうか――僕を信じて送り出してください」
二人は声を発しなかった。
僕は彼らから見たら子どもだ。二十になったばかりの若造。託されなくても、信じられなくても当然だ。いくら僕がエニツィアに名を轟かせたとしても、相手も同等かそれ以上の狂人なのだから。
カンパルツォはじっと見定めるように僕の瞳を凝視している。僕を、と言うよりは己自身を見定めるような、そんな視線だった。
重苦しい沈黙が続き、頭を下げようとしたとき、カンパルツォは厳しい顔つきで短い息を吐いた。
「すまん、ニール」
「……伯爵さま」
頭を下げたカンパルツォを慌てて制止する。
あなたが頭を垂れるなんて僕は望んでいない。僕が望んでいるのはあなたが胸を張って人々を引っ張る姿だ。
その思いが伝わったのか、カンパルツォはゆっくりと顔を上げた。
「お前が」と彼は震えを押さえるように拳を握る。「おれたちの元に戻ってきたとき、本当に嬉しかったのだ……だが、結局はこうだ。守ると言ったのに、おれはお前を死地に送ろうとしている!」
彼の怒りを嗅ぎ、僕は目を瞑った。今までの人生を回想し、思いを吐き出す。
「カンパルツォさま……僕は昔、ずっと膝を抱えて過ごしていました。誰からも信じられず、誰も信じていませんでした。でも、今は違います。あなたとウェンビアノさんの夢のおかげでこうしてここにいられる。僕はそれがとても嬉しいんです。どうか、僕に機会を与えてください」
再び雨音が室内に満ちたが、カンパルツォが頷くまでそう時間はかからなかった。彼は低く、頼もしい声色で僕に命じた。
「……ニール、命令だ。必ずエニツィアを滅ぼさんと欲する悪鬼を打ち倒し、生きて帰ってこい」
「はい!」
清々しい気分だった。カンパルツォの声は胸の奥にまで響き、痺れるような感覚で残っている。誰かに信じられることのありがたさを身に染みて痛感する。「ありがとうございます」と礼を言い、僕は書斎を後にした。扉の外で拳を握り、頷く。
そして、一歩踏み出したとき、背後から声をかけられた。
「ニール」
振り向くと扉の前にウェンビアノが立っていた。無表情のまま、彼は歩み寄ってくる。どうしたのか、と疑問を抱いた瞬間、激しく気が動転した。
「あ、あの、ウェンビアノさん?」
ウェンビアノは普段から感情を出さない。事務的な口調の裏側にはきっと確かに喜怒哀楽が存在しているのだろうが、それを読み取るのは至難の業と言える。
その彼が僕の肩を抱きしめていた。痛いほどの力で、だ。僕はただ狼狽え、「どうしたんですか」と繰り返すことしかできなかった。
「……私と」抑揚のない声でウェンビアノは応える。「マイラの間には子どもがいない。だから、お前くらいの年齢の若者との接し方が分からず、部下のようにしか扱えなかった。それをマイラに話したらこうしろと言われてな」
ウェンビアノは僕から身体を離す。照れがあれば人間らしくておかしかったのだけれど、どうにも彼の顔にはそういったものが見当たらず、それがおかしくて、噴き出してしまった。彼も「らしくないな」と薄く笑う。
「マイラから相談されたんだが……無事に戦争が終わり、お前にその気があるなら養子として迎えようかとも思っている。フェンやウラグにすべて任せておいた男が言うことではないかもしれないがな」
ずき、と胸が痛んだ。必死に笑顔を繕い、おどける。
「ウェンビアノさん、嬉しいんですけど……そういうことはもっと早く言って欲しかったです。もう先約が入っちゃいましたよ」
「先約?」
「アシュタヤが名字をくれるみたいです」
その瞬間、ウェンビアノはきょとんと呆け、それから高い声で笑い始めた。まったく彼らしくない様子ではあったが、そこには一切の悪意を感じない。彼は一頻り笑い終えると「そうか」と柔らかな表情を見せた。
「なら、その前に無理矢理にでも養子に入れておくか。貴族との伝手ができる」
「これ以上伝手を作ってどうするんですか。カンパルツォさまがいるのに」
「レングさんは暑苦しいからな。それにラニアさまと懇意になったらよい茶を飲める」
ウェンビアノは僕の肩をぽんと叩き、書斎へと戻っていった。僕は微笑みながら階段を昇る。何もかもを手に入れたような気分になり、幸福な休息の予感に体温が柔らかく上昇していくのを感じた。
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