包囲




気がつくと僕は高層ビルの正面玄関前に呆然と佇んでいた。

さっきまでの瓦礫の戦場とは全く違う場所、辺りにある道路標識から日本だ......




「ここはどこだろう?何でこんなところにいるんだろう......」



建物を見上げるように半ば呆けたように眺めていると不意に後ろから声を掛けられた。


「ここは防衛省管理施設です。本日の業務時間は終了しています、何か御用ですか?」



言葉は丁寧だったが、制服から陸上自衛隊の自衛官と思われたその職員の目は殺気に近いような雰囲気を漂わせていた。



どうして僕はこんな場所にいるんだろう。さっきまで廃校の傍のコンビニでジュース買って、それから......



そうだ!確か変な外国の戦場みたいな場所で軍用車を運転して僕は事故を起こして、それから死にかけて、それで......



まっまさか馬鹿だな僕は夢でもみたんだな。



そう思いながらその場所から立ち去ろとした時、さっき話しかけられた自衛官の男に肩を掴まれた。


「君!ちょっと待ってくれ、君は確か......」


そう言うと、自衛官は携帯していた端末で何かを調べていた、僕は咄嗟に嫌な予感が頭をよぎったので、手を払いのけるとその場から急ぎ足で立ち去った。


「おい待て!まずいな応援を呼ぶか......」


自衛官の焦ったような声を背にしばらく全速力で走り、後ろを向くと、自衛官の姿はなく。僕は数分でビルから少し離れた公園に来ていることに気付いた。


ーーーどうやっても、自信の無さは変わらないようだな、彼女の言った事は覚えてるな?---


「えっ?僕何を考えてるんだろう?いやそんな事考えてる場合じゃない。別に悪い事した訳じゃないのに、何となく逃げてきちゃったよ。これからどうしたらいいんだ......そうだ笹村さんに連絡して......あっしまった!」


僕は笹村さんがいる廃校に自分のスマホを置き忘れた事に気づいた。


「笹村さんの番号聞くの忘れちゃったしなあ、しょうがないから、自宅に電話して迎えに来てもらうか。でもここらへんに電話が使えそうな場所は......あっあんなとこに電話ボックスがある」


僕は公園にあった電話ボックスに駆け込み、家の電話番号を押した。


「はい」

「あっ母さん?」


「............優ちゃん?今どこにいるの?御父さんも心配したんだよ」


「ごめん母さん」


「今どこにいるの?所在を教えて」

ジーーーーーーーーピィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


うわ!痛っつううう......また耳鳴りだ!


ーこの通話は盗聴されている恐れがありましたので、セッションを終了しましたー


「えっどういう事だ?盗聴ってなんで?」


 訳が分らないまま、電話ボックスを出ようと後ろを向くと、僕は十数人の自衛官に取り囲まれている事に気付いた。

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