廃校

「僕どうして、こんな高い校門を飛び越えられたんだろう......信じられない」


「......まっ火事場のクソ力っていう言葉もあるくらいだから、極限まで追い詰められた時に最大限の力が発揮できるように人間誰しもそういう事ができるようになっているのかもしれないな。気にするな」


 

 彼は溶融点が高いタイプなのか?何て事だ、俺は軍人を辞めた時に嘘をつくことも辞めたはずだが、仕方がない。


「そうなのかな、でも」


「君はどうしてこんな古ぼけた廃校に入り込んだんだ?」


「それは......その......おじさんことどうしてこの廃校にいるんですか?ホームレスの人なんですか?それにしては随分と清潔だし」


「そうだな、変だろう?ちょっと訳があってな、人間関係とかが嫌になってね。そいつらを避ける為に今はこんな隠遁生活だ。少しばかりは蓄えがあるから身なりもそれなりに気を使えっているけどね」


「じゃあ、僕も人間関係とかが嫌になったって事でいいです」


「はあ?ははははは、そうか分った、じゃあ君も俺と同じだ。同じ仲間じゃほかに居場所が無いって事か」


「......」


「分った、好きなだけここにいればいいさ。幸い食べ物もあるし、水もある。俺ので良ければ着替えもある。ゆっくりしていきな。ま、って言っても俺の所有する場所ではないけどね」


「有難う御座います」


 その後この老人、笹村 良蔵の隠遁する廃校に僕は泊めてもらうことになった。

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