【エッセイ】宇宙で死んだら腐らないね、私たち。

作者 五水井ラグ

50

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★★★ Excellent!!!

 危うい文章に引きずり込まれてしまいます。
どんな人が書いているんだろうと、考えながら読んでしまいました。
本当に危うく、触れると儚く溶ける雪結晶みたい。
すぐ溶けるけど、すごく綺麗で、手のひらに冷たさが残る。
一冊の本にして、棚に飾って飽きることなく眺めていたいと思った。

別の方が、
「これはレビューではないね、ラブレターかな」
と書いた気持ちがわかってしまう。

★★★ Excellent!!!

テーマにとりとめはなく、前後を無視して切除された表現の集合体が本作である。

読んでいるとまるでフラクタルの図形を拡大し続けている気分になる。
しかし不思議な事に、どこかで突然鏡を突き付けられた様な驚きを得る筈だ。
そうして強制的に本作へ引っ張りこまれると、読者の意識は作者の具体と抽象の観念をピンボールの様に行ったり来たりさせられる。
ロジェ・カイヨワが言うところの「遊び」の一、「目眩」の体験ができるというわけである。

まあ、騙されたと思ってしばらく読んでみて下さいよ。
一話一話は短いし、しんどいなーもてあそばれてるなーって思ったら一旦中断すればええねん。

Good!


才能がどうこうなんて無能な私にはわからないけれど、この人の書く文章は好きだし、どの作品にも飽きずに目を通している。繰返し読む。活動の姿勢も好き。色んな苦悩や葛藤に安っぽいエールは要らないだろうけど、惹かれ評価している人間がここにひとりいるんですよ、くらいは言っても許されるだろうか。

聞いた話ではどんな経験も無駄にならないらしい。どんな辛いことも悲しいことも虚しいことも、もちろん喜びや温もりも、知れば知るだけ、創作に活かせる選択の幅が拡がるのだそうです。だから長い人生で一時筆を折る時が否応なしにやって来ても、今は新しいものを吸収する時期と腹をくくれば、その先にまた道は続くのだそうです。

経験は厚みあるリアリティーを授けてくれるものです。創造力に想像力、そして体験してきた感情が合わさったらさぞかし素晴らしいことになるのでしょう。だから。どんなことになっても、またいつか必ず書くと思えば、案外無敵でいられます。


余談です。作品のフォローについてですが私を含めここカクヨムでは色んな作品を読み漁る人はフォローをはずすことも多いかもしれませんがそれは評価とは別の要因からです。多すぎるとフォローは追えませんし、しっかり認識した作品はフォローを外しても追えます。むしろフォローのままの作品は読みたいけど読めてない積ん読が多いです。もちろん返しが目的のフォローユーザーもいるかもしれませんがそうではないユーザーもおりますので一概には言えません。


★★★ Excellent!!!

ここにある言葉達は、まるで、夏の日差しに照らされたコンクリートのようです。声高ではないけれど、じりじりと焼ける、他者だけでなく自分すらも拒むような厳しさを伴った温度を内に宿している。そして僕は、日差しの中のコンクリートが夏のすべての中で一番美しいと思います。山よりも海よりも入道雲よりも、ずっときれいで、ずっと人間的で、ずっと静寂に近くて。そこにコンクリートを広げた人からすれば、「美しい」なんて的外れな感想は、まったくくだらなくて、「なあにいってやがんだ」という感じでしょうか。でも僕にはやっぱり、美しい、という表現が一番しっくりきます。

★★★ Excellent!!!

子どものころに読んだ書物に
こんなことが綴ってあった。

胃を満たすために毎日何回も食事を
しなければいけないのは、なんて惨めで
恥ずかしくてみっともないことなんだろう。

その記述がいまでも頭のなかに残っている。

わたしたちライオンだったらいいのにねって
その本のなかで女の子がいってたことを。
ライオンはひと月に一度しか食事をしないから。

その一度のために獲物を引き裂くあの生き物を
残酷だっていうひとがいるけれど
それならあなたはどうなんですか?
人間は残酷じゃないとでもいいたいの?
肉だって魚だって野菜だってわたしたちは
「死」んだものを口に入れて体内に咀嚼している。
摂取している。生きてゆくために。自分を守るために。

ライオンだって生きて、自分を守っているだけ。
「生」とは残酷なもの。それをひと月に一度で
すませるならば、ライオンとは、ずいぶんやさしい
生き物だと思う。怠惰なだけかもしれないけれど。

どうしてだろう。
このひとの文章を読んでいて、わたしは
なぜだかあの書物を読んだときのあの気持ちを
強く思いだした。

自分は呪われている、とあなたは綴る。
血に、ペンに、それからなにかな。
きっとあらゆるものに。
そうだよね? 違うかな。
わたしもわたしは、世界のすべてに
呪われているのだと、自分で感じる。

だけど呪われていても、幸せなの。
こんなに幸せなことはないくらいに。
ここはたしかに天国だよねって
できればあなたと笑いあいたい。
泣きたいくらいに幸せだよねって。

ほんとうはもっと、たくさんたくさん
綴りたいことがあるのだけど
おそらくわたしは的外れなことしかいえないし
これ以上おかしなことは書きたくないし
ここまでにしておきます。

ひとつだけいえること。
あなたの言葉を、もっと食べたい。

★★★ Excellent!!!

誰かが聖書には天国なんて書かれていないといってたような気がする。
そういえばかみさまは、7日で世界を創ったそうだけど、天国を創ったとは書いてない。

ヴェイユはかみさまがいるのは、地上にその気配が一切感じられないからだといった。
「真空を求めてはならない。なぜなら、真空を充たすために超自然的なパンを当てにするのは神をこころみることになるだろうから」
宇宙には真空があるんだろう。
でも、それを求めるとかみさまはどこかにいってしまう。
そうヴェイユは思ったから、自身を真空にしたのだろうか。

強度、強度。
器官なき身体は事象の地平みたいに、その向こうにある真空を覆っている強度の皮膜かもしれない。