No.526.ロマンスの古城

招待された先は 歴史の重みを 漂わせた 名も無き古城

豪華な装飾を 施された 古の扉

石畳を 一歩 足を踏み出せば 鮮やかな花園

足音だけが 響き渡る


何かに ひきよせられるかのごとく 迷いも無く

赤い 絨毯が 導くまま


王座に 座っているのは 神々しい乙女

淡い緑色の眼差し 輝く 銀色の髪

僕は歩み寄り その麗しき手に そっとくちづけた


にこやかで すこやかな 微笑み

どんな心の傷も 暖かく 包んでくれる


ほのかな桃色のドレスの彼女は 静かに立ち上がった

白いすべすべの肌 細い指先が 薄汚れた左手を つかんだ

ゆっくりと 二人 螺旋階段をのぼる

時折 見える小窓からは 果てしない大空


柔らかな物腰 右手には ダイヤのブレスレット

透き通った 美しい七色の声

大地をみおろす テラス 僕達は静寂のキスをした

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