No.496.乾燥しきった恋

くったくなく 笑う その素顔 見つめていたかった

ずっと 側にいたかった

まるで 幻覚をみていたみたい

まわりに いるのは 名前も知らない

まったくもって まじで他人

すでに 香りすらも感じない

ぬくもりもない 凍りついた一室

火のつかない たばこ 眺めていた


何かが かわるわけもなく

ぽっかりと でかい穴が あいた扉

すこしづつ 外側にむけて 腐れおちていく


春の息吹を あびても

夏の暑さも きづかず

秋の涼しさに 焼け焦げ

冬の静かさが ひびいて


逆さまのような あべこべのような

枯れきった ひびだらけの大木

うるおうことのない日々

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