No.446.鋼の右手の呪い

きれい事なんか いらない 汚いきずなばかり

迷路の館にまぎれこんだ 力無き亡者

反吐にまみれ 泥につかり 出口もわからず

路頭にまよい ごみをあさる 野良になりさがった飼い犬

消す事かなわぬ罪 鋼の右手にこめし 贖罪


悲しみにのみこまれたまま こぼれていく

ただ一つ 残された 大切な思い出がくずれゆく


雷が飛び回り 雨が降り続く

灼熱の蒸気を浴びせられても 痛みは焼け付く


汽車からみえる さみしげな街並の廃墟

鉛球 ぶちこまれた頭 ひずんだ眼球

楽しい事 分かち合えず 見つけられず

台風に飲み込まれ 行く先も 定まる事なく

壊れた古時計には 刻まれる事なく


できる事もなく 裏切りに 逃げ込んでしまう

やましい事も 女々しい事も 厳しい事も

全て 捨てきれず 苦しみにもだえる

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