No.290.無獣

どろっとした体液 とろける吐息

木を切り落とす鋸の音

血しぶきの眼 混沌に隠された妄想

滑り落ちる空 飛び上がる大地

燃え上がる魂 叫び狂う情熱


時計の針をじっと見ながら うなだれ 砕かれ

拝む必要はない おまえはおまえの好きな様に

耐える必要はない 俺は俺のやりたい様に

抑えられない欲望なんて 噴出してしまえ


突き刺さった肉汁に味をおぼえてすすりまくり

ぷりっとした 感触に舌なめずりしてみたり

夜な夜な 淫らな 幻惑に倒錯してゆく


尻尾振る犬でもなく 自分勝手な猫でもない

本能の赴くままでも 理性に従うままでも

愛の飢え逝くままでも 憎しみの溢れるままでもなく

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