340日目:小癪なナメークたち……。

 神聖歴六一〇三年・夢見虎ゆめみとらの月第一九日・天気:―


 セーヴェル遺跡ダンジョンに潜って十五日目。今日も第五階層を探索中です。

 通路の作りは第四階層までとほぼ同じで、その点は探索に支障はありません。

 ただ、問題なのは魔物と罠の種類が前階層から大きく変化したことです……。


 魔物はこれまでと同じくナメーク中心ですが、特殊な個体が多くなりました。

 その最たる例が昨日遭遇した、あの青と赤の斑模様をしたナメークです……。

 休憩中に魔物図鑑で調べてみると、あれはアロウナメークという種類でした。

 あの黄色い螺旋状の触角を飛ばして攻撃することから、その名が付いたとか。

 

 ……やっぱりあの時、安易に攻撃せず別の通路を進んだのは正解でしたね。

 もしも突撃していたら、遠距離から一方的に攻撃されていたかもしれません。

 なので今後遭遇したら、アレの処理はノアさんとルイナさんに任せます。

 私とルルちゃんでは多分近付けませんからね……ナメークのくせに小癪な。


 それから罠のほうは一つ起動すると、他の罠が連動するようになりました。

 左右の壁が迫ってきたかと思ったら、突然通路の床が消えたりします……。

 第四階層までの罠も割と危険でしたが、第五階層はさらに注意が必要です。

 だから、ニコさん? 何度も言いますけど不用意に罠を調べないでください!

 さっきのこと忘れてませんよね? 鉄球二つに追われるのは二度と御免です!


 ……といった感じで、第五階層の探索は続いています。

 はぁ……無事に第六階層の入口まで辿り着けるでしょうか? 少し心配です。

 なんて考えていると、また通路の先からナメーク達の不快なあの足音が……。

 今回のナメークはなんですかね? 昨日と同じアロウナメークでしょうか?

 ……よし、いつも通り私とルルちゃんで先行して、様子を見ることにします。


 そうして慎重に通路の先へ進むと……いました。やっぱりアロウナメークです。

 うん……ここは予定通りノアさんとルイナさんに任せましょう。お願いします。

 ノアさん? 心底嫌そうな顔をしていますが諦めてください。仕方ないのです。

 

 その後、陣形を整えてからアロウナメークへ攻撃を仕掛けます。

 ノアさんとルイナさんが前線で弓を構え、サマラさんは正面を守る障壁を展開。

 私とルルちゃんは殿へ移動し、背後からの急な敵襲に備え防御を固めます。

 ニコさんとソシオは中央で待機中。ソシオはニコさんを見張っておくんですよ?

 目を離すとニコさんはまた周囲の罠を勝手に調べ始めますから……。

 

 数分後……どうにか無事にアロウナメークの討伐が終わりました。

 けど、お互いに矢を射ち合っているような凄い戦闘でしたね……。

 サマラさんが神術で障壁を張らなければ今頃どうなっていたか……。

 あと、やっぱりアレは私とルルちゃんでは無理です……普通にハチの巣です。


 でも、これでアロウナメークへの対策は大丈夫そうですね。

 さて……それじゃあ、先へ進みましょう! 急げば今後の選択肢も増えます!


 今日の収支

 (アロウナメークの素材×10)

 ――――――――

 残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚


 (*'-'*) 今ならまだ表層部攻略も間に合うのです!

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