182日目:思い出の依頼になるように。
神聖歴六一〇二年・
さて、今日はルルちゃんがEランクになってからの初仕事です。
なにがいいでしょうね? う~ん、私の時はどうでしたっけ?
気になったので毎日つけている日記を確認してみます。
月兎の月第三〇日とか半年近く前ですね。えーっとなになに……薬草採取?
あぁ……マルガさんのせいでやる気が失せたんでしたっけ。
記念すべきEランクでの初依頼だったのに……今更ですが少しイラッとしますね。
でも、懐かしい思い出です。……マルガさん達、今はどうしているでしょう。
いつかまた会いたいですね……ってそれより依頼をどうするか考えないと。
ルルちゃんに私と同じような思いをさせてはいけません。
Eランクに昇格して良かった! そう思えるお仕事を探さないと。
王都のギルドなら思い出に残る素敵な依頼がきっと見つかるはずです!
そんな淡い希望を抱きながら冒険者ギルドへ。
クエストボードから依頼を探しますが……現実は残酷です。
Eランク以上が受注できる目新しいお仕事というのはなかなかありません。
なにか、なにかないですか……Eランクからしか受けられない依頼が……。
諦めきれず目を皿のようにして探し続けると……あ、これは?
ふと一枚の依頼書が目に留まります。
依頼内容はドラゴン観測所への一ヶ月分の食料及び日用品などの運搬。
場所は王都東の鉱山地帯を抜けた先にある大渓谷。
物資の量と目指す場所の困難さから必要ランクは最低でもE。
これ! コレですよ! こんな依頼を探していたんです!
運良くドラゴンを見ることができたら、忘れられない思い出になります!
そう思い依頼書を持って受付へ行きますが、受理してくれない眼帯お姉さん。
なぜですか!? ランク制限は問題ないはずです!
しかしお姉さんは首を横に振り、依頼書の一文を指差します。
人数制限? 運搬物資の膨大さから十二人以上のパーティを推奨?
甘い! 甘いですお姉さん! うちのパーティにはノアさんがいるんですよ!
ノアさんなら一ヶ月分の荷物でも空間魔術で収納可能ですよね? ね?
期待を込めて確認すると、う~ん、どうかなぁ、と自信のない返事が……。
そんな……一応試してみるだけでも! これが解決すれば受注できるんです!
その後、眼帯お姉さんに頼んで物資を保管している倉庫へ案内してもらいます。
倉庫内には山のように積まれた箱、箱、箱……。
こ、これ全部依頼品ですか? 少し多すぎません?
あまりの量に唖然として確認すると、流石に無理だろう? と苦笑するお姉さん。
しかし荷物を見たノアさんは、あ、これはいけるよ、と平然と言ってのけます。
その言葉に、マジか! エルフ族すげーな! とお姉さんはビックリです。
ど、ど~です? 流石ノアさんでしょう? ……私も驚きました!
こうしてどうにか運搬任務を受注でき、出発は明日。
……楽しい思い出になるといいですね。
今日の収支
銀貨:-3(宿泊費×4+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
――――――――
残金:金貨1枚、銀貨50枚、銅貨53枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨17枚、銀貨76枚
。('-'。)(。'-')。ワクワク ドラゴン、私も楽しみです!
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