151日目:釣り大会当日でした!
神聖歴六一〇二年・
宿の部屋で寝ているとミアさんとニコさんに叩き起こされました。
欠伸をしながら用事を尋ねると、今日は大会当日にゃ! とミアさん。
あ……すっかり忘れていました。やっぱり徹夜の依頼はダメですね……。
急いで支度をして港へ行くと、そこは既に大勢の人で賑わっていました。
屋台なんかも並んでいてまるでお祭り騒ぎです。
そんな混雑した中に、釣竿を持った人が集まっている一角が。
どうやら大会に参加する人はあそこで受付を済ませるみたいですね
そうして受付を終えてから一時間後、ようやく釣り大会が始まりました。
ルールは簡単。制限時間内に一番大きな魚を釣った人が優勝です。
さぁ、皆がアッと驚く大物を釣り上げますよ……!
と、張り切っても釣りをするのはミアさんだけなんですけどね……。
……う~ん、大会開始から一時間ほど経ちましたが……暇です。
基本的にミアさんが釣るのを眺めているだけですからね……。
この状況を楽しんでいるのはニコさんぐらいのものです。
さっきから逐一、水温や気温、風向などのデータを笑顔で記録しています。
一体その数字の羅列のなにがそんなに面白いのか……不思議です。
ぼーっと海を眺めていると段々と眠くなってきますねぇ……。
そんなことを思っていると、キタにゃー! と突然ミアさんが叫びます。
ハッとして視線を向ければ、しなる釣竿を必死で支えるミアさんの姿が!
い、今にも折れそうなほど曲がってますけど大丈夫ですかね、釣竿。
って、ミアさん!? なんかじりじりと引き摺られてませんか!?
お、重いにゃ~と歯を食いしばって苦悶の表情を浮かべるミアさん。
ルール上手助けはできませんし……どうしましょう……。
悩んでいると、ニコさんが赤い液体の入った小瓶を持ってミアさんに近付きます。
え? ちょっと待ちなさい! その手に持った小瓶ってまさか!?
しかし、止める間もなく小瓶を受け取ったミアさんはそれを一気に呷ります。
次の瞬間、ガッチリと大地を踏みしめ釣竿をしっかり支えるミアさん……。
あぁ……こんなことでお薬を使うなんて……。
その後、十数分の格闘の末釣り上げたのは全長三メートルを超えるホグフィッシュ!
以前、依頼を諦めた豚の上半身と魚の下半身を持ったあの魔物です!
それが伝わると同時、会場全体から拍手と歓声が巻き起こります。
……これは優勝かもですね!
そして、結果は予想通りの優勝でした! しかも歴代一位です!
……うん、そこまでは良いんです。喜ばしいことです。
けど、賞金は手に入りませんでした……。
理由は簡単、釣竿製作に使った素材の請求書をミアさんが隠していたんです!
表彰後、申し訳なさそうに紙の束を渡された瞬間、頭の中が真っ白になりました。
……これでは一体なんのために大会に出たのか分からないのです!
今日の収支
銀貨:-2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
金貨:+2枚(釣り大会優勝賞金)
-3枚(釣竿製作資金)
――――――――
残金:金貨2枚、銀貨1枚、銅貨21枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨18枚、銀貨26枚
(ノ_-;)ハア…優勝した意味がありません。
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