135日目:ミアさんの船。
神聖歴六一〇二年・
朝、目が覚めたら宿の庭で軽い運動をして体の調子を確かめます。
……うん、これならいつも通りの依頼をこなせそうです。
ニコさんのお薬を飲んで完全に体調が戻るまでに約二日……。
……やはり多用していいものじゃないみたいです。
できる限り使う状況に陥らないように普段から気を付けないと……。
改めてお薬の危険性を確認し、ノアさん達と朝ご飯に向かいます。
ここ数日、超高級な宿に泊まっているので食事が毎回楽しみです。
む、無駄遣いなんかじゃありません! 英気を養っているんです!!
朝食を終えたら、冒険者ギルドへ。
今日もしっかり稼いで早く船の修理費用を貯めないと……って、アレ?
そういえばミアさんの船の修理費用っていくら必要なんでしょう?
ミアさんと一緒に働きだしてからもう十日ほど経ちます。
その間、報酬の九割を渡しているのでかなりの額が貯まっているはずです。
……船の修理費用ってそんなに高額なんでしょうか?
これはちょっと訊いてみる必要がありますね……。
ギルドに着いたら、先に来て待っていたミアさんに早速尋ねます。
すると、気付いちゃったかにゃ~、と苦笑する彼女。
……えっと、つまりどういうことです?
困惑していると、見たほうが早いにゃ、ということなのでギルドの外へ。
ミアさんの案内で暫く歩いていると、港の端にある
船渠は船を建造、修理、係留などしておく施設です。
その中でもここはマーガの街で最大規模だとミアさんが教えてくれます。
普段見ることのない作業に目を奪われていると、着いたにゃ、とミアさん。
彼女の指差す方向には一隻の船が……ってちょっと待ってください?
……なんであの船は骨組みなんでしょう?
あれではまるで修理というより新造しているみたいです……。
説明を求めてミアさんへ視線を向けると、現在建造中にゃ、と笑う彼女。
……え? いやいや、修理って話でしたよね!? どういうことです!?
思わず詰め寄ると、焦った様子で言い訳を始めるミアさん。
修理より新造するほうが安かったって絶対嘘ですよね!? 騙されませんよ!?
でも、きっといい船になるにゃ! ってそういう問題ではないのです!!
まったく……なんで最初に説明してくれないんでしょう……。
新造船でもちゃんと協力するのに……それで? あといくら足りないんです?
私の言葉に目を丸めるミアさん。怒ってないのかにゃ? って貴女は……。
正直いい気持ちではありませんが乗りかかった船です。最後まで手伝います。
そう伝えると、ありがとにゃー、と抱きついてくるミアさん。
はぁ……私ってなんでこう厄介な子に懐かれますかね。
ノアさんに視線を向けると、呆れたように肩を竦められます。
とりあえず、稼げる依頼を受注してお仕事を頑張りましょう。
……街を出るのはもう少し先になりそうですね。
今日の収支
銀貨:+1枚(依頼報酬)(ミアさんへの支払い差引済)
-4枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床☆、食事☆)
――――――――
残金:金貨3枚、銀貨74枚、銅貨21枚
猫銀銭190枚
(ノ_-;)ハア…予想外の事態です……。
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