134日目:大海蛇のその後。

 神聖歴六一〇二年・月見羊つきみひつじの月第二五日・天気:晴


 うん……体の痛みは完全にひきました。

 ベッドから抜け出し、軽く動いてみます。

 ……一日寝ていたせいか微妙に全身が重いです。

 これは今日もお仕事は無理かもしれません。


 そんなことを考えていると、近くのソファーから人の動く気配が。

 目を向けるとミアさんが丁度起きたところでした。

 彼女、昨日はあのまま動けなくなったのでここに泊まったんです。

 私に気が付くと、おはようにゃ~、と笑って挨拶をしてきます。

 ミアさんも体調は大丈夫みたいですね……良かったです。


 顔を洗って鎧に着替えていると、ノアさん達が部屋を訪ねてきました。

 私とミアさんの様子を確認すると、安心したように溜め息をつくノアさん。

 彼女の背後ではニコさんがこちらを観察しつつ熱心にメモを取っています。

 昨日、ノアさんに散々注意されたのに懲りませんね貴女も……。


 ミアさんももう諦めたのかニコさんが近付いても怒ったりはしません。

 ただ、そーっと距離をあける辺り警戒はしているみたいです。

 さて、準備も終わったので朝ご飯へ行きましょう。お腹ペコペコです。


 朝食を終えたら、冒険者ギルドへ向かいます。

 本調子じゃないので無理はできませんが体は動かさないと……。

 これ以上休むと体がさらに鈍る気がしますからね。

 とりあえず、なにかサクッと終われる軽い依頼を受注したいところです


 ギルドに着いたらまずは受付へ。

 いつもの筋肉お兄さんに、大海蛇だいかいじゃ・シーサーペントのその後を尋ねます。

 すると、すでに冒険者数十人で組まれた討伐隊がダンジョンへ向かったそうです。

 

 意外と早い対応に驚くと、海上に逃げられると厄介だから、とお兄さん。

 あと、今なら大海蛇の鱗が普段より柔らかくなっているらしいです。

 理由を訊くと、彼らが陸地に上がるのは主に脱皮のためなんだとか。

 それで脱皮直後は攻撃も通りやすいので、討伐するなら今しかないと……。

 なるほど……だから手で押したとき少し弾力があったんですね。


 納得していると、特別報酬が出ていますよ、と革袋を渡してくるお兄さん。

 ……あぁ、大海蛇って災害指定種だったんですね!

 災害指定種はその名の通り周囲に甚大な被害を与える魔物たちです。

 クラーケンもこれに分類されています。

 

 被害の大きさという点では以前書いた「二つ名持ち」の魔物と似ていますが、災害指定種はその種の魔物全てが危険指定されているのが最大の違いでしょう。

 それと二つ名持ちと違い行動範囲が広く、動きが読み難いのも特徴です。

 なので、発見及び報告すると多少の報酬が貰えます。

 でも、やっぱりあの時全力で逃げて正解でしたね。

 災害指定種とか普通に死ねます。


 その後、貨物船の荷降ろしの依頼を受け今日はお仕事を終えました。

 ……よし、この感じだと明日からは普通に働けそうです。


 今日の収支

 銅貨:+10枚(依頼報酬)(ミアさんへの支払い差引済)

 銀貨:+5枚(特別報酬)(ミアさんへの支払い差引済)

     -4枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床☆、食事☆)

 ――――――――

 残金:金貨3枚、銀貨77枚、銅貨21枚

     猫銀銭190枚


 く( ̄△ ̄)ノ 明日から頑張ります!

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