123日目:待ちに待った素材。

 神聖歴六一〇二年・月見羊つきみひつじの月第一四日・天気:晴


 むぅ……日焼けが痛くてよく眠れませんでした……若干寝不足です。

 うん、ここは元気を出すために金貨を眺めましょう!

 ふふっ、クラ―ケンの討伐に参加した報酬で今では四枚に増えたんですよ、金貨。

 曇ることのない輝き、手に伝わる確かな重み。溜め息が出るほど素晴らしいです。

 

 金貨にうっとりしていると、いつの間にか部屋にいたノアさん達に呆れられます。

 また病気が始まったね~ってそんな哀れんだ目で見ないでください、ノアさん!

 ニコさんもどんな薬が効くかとか真剣に考えなくいいですからね!?

 これは病気じゃありません! 私はいたって正常です!


 二人にからかわれつつ朝食を終え、冒険者ギルドへ。

 ギルド内に入ると、すぐに受付の筋肉お兄さんに呼ばれます。

 受付へ行くと、そこには木箱に入ったクラ―ケンの素材が用意されていました。

 ニコさんが賞品で貰ったものと昨日の副報酬分の合計二箱です。

 そういえば今日でしたね、素材の受け取り日。

 素材を見た瞬間、目をキラキラと輝かせるニコさん……。

 ……そんなに楽しみだったんですか、これ?

 

 素材を受け取るとニコさんが急にそわそわし始めました。

 これは……今すぐにでも調合したい! って感じですね。

 仕方ありません。今日のお仕事は中止しましょう。

 こんな状態で依頼を受けるのは危険ですからね。


 というわけで、素材を持って錬金術師ギルドへやって来ました。

 前回と同様に研究室を借り、そこへ調合に必要な機材をセットします。

 準備が終わると、ニコニコしながら作業を始めるニコさん。

 ……私も金貨を見つめてる時ってこんな表情をしてるんでしょうか?

 ちょっとだけ皆が呆れる気持ちが分かった気がします……。


 さて、今回は私たちもニコさんを手伝うことにしました。

 この前あんなことがありましたからね……少しだけ心配なのです。

 ニコさんのことは信じてますよ? ただ彼女は夢中になるとアレなので……。

 あと任せきりというのも少し悪い気がしますしね。

 

 で、ニコさんの指示に従い、素材の下処理をしてるんですが……。

 うぅ~またあのヌメッとしたクラーケンに触るとは思いませんでした。

 昨日と同じで凄く生臭いです……けど頑張ります!


 二時間ほどで素材の処理はほぼ完了しました。

 均等に薄く切られたクラーケンの身。

 ニコさんによるとそれを各種薬品と一緒に煮るらしいんですけど……。

 な、なんですかこの臭いは……鼻が……鼻が……。

 あまりの臭気にノアさんも涙目です……うっ、吐き気が……。

 ……この状態で朝まで煮込み続けるとか本気ですか?


 暫く我慢しましたが、流石に耐えきれず私とノアさんは室外へ避難することに。

 お、お薬ができる早朝に様子を見に来ればきっと大丈夫です。

 ……私は信じてますからね、ニコさん!


 はぁ……でも本当に酷い臭いでした……お風呂に入りたいです。

 

 今日の収支

 銅貨:-50枚(宿泊費:ソシオ)

 銀貨: -1枚(宿泊費×2))(寝床◎、食事◎)

    -5枚(研究室レンタル費)

  クラーケンの素材。

 ――――――――

 残金:金貨4枚、銀貨42枚、銅貨43枚

     猫銀銭190枚


 (_ _;)…パタリ 気持ち悪いです……。

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