36日目:パーティ任務
神聖歴六一〇二年・
朝起きると部屋の前にはやっぱりメイドさんが……。
早く帰りませんかねこの人……。
という訳で今日も二人でお仕事探しです。
何にしようかクエストボードの前で悩んでいると、受付のお兄さんに声を掛けられました。
曰くメイドさんを一緒に連れて行くならいっそ冒険者登録してパーティ必須の任務を受注しないか? と。
おぉお! そうですね! どうせなら確り働いてもらいましょう!! せめて宿賃ぐらいは!!
早速登録しようとすると意外な事実が! メイドさん実は元冒険者だったのです……道理で普通じゃないと思いました。
それで元冒険者ならランクが元より一つ下がる代わりに新規の半額で再登録が出来るそうです。
その事をメイドさんの了承を得てから手続きをお願いしました。
受付へ去っていく二人、その間に私は任務選びです。
暫くするとギルド内が騒然とします。
受付にギルドの職員さんが集合していますね。
私が見ている事に気が付いたのかメイドさんが微妙な愛想笑いを向けてきます。
……何かやらかしましたね貴女!?
その一時間後ようやく再登録が完了しました。
受付の皆さんが疲れ果てた様子ですけど、本当何したんでしょうねこの人。
待っている間に決めた任務はトロールの住処調査です。
トロールは大きな鼻と耳を持つ巨人の一種です。身長は成人男性の五~六倍ほど。魔物指定されていてかなり危険な相手です。
ただ今回は討伐ではなく彼らが住処に盗み貯めた財宝を奪い返すのが目的です。
それでも十分危険なのですが、トロールは太陽が昇っている時間帯は石になるという不思議な特徴があります。
なので今日は住処の特定だけ行い、明朝そこへ忍び込む予定です。
彼らの住処は山や森、岩場等です。
それだけだと特定は難しいのですが、教会の鐘の音を嫌うという性質があるのでそこから推測します。
つまり街に点在する教会の鐘の音が聞こえない山や森、岩場を探せばいいのです。
それと目撃情報を照らし合わせれば割と簡単に絞り込めました。
街の南東にそれらしい岩場があります。
準備をしたら早速出発です! あ、帰りは荷物が多くなるので荷車を借りて行きますよ!
日が少し傾き始めた頃ようやく岩場近くに着きました……荷車は空でも重いです。
……鐘の音は……大丈夫聞こえませんね。
今日はここで野宿です。私がテント、メイドさんが食事と分担して作業します。
パーティの利点ですね!
テントを張り終えたら後は野営陣地の四隅に長めの棒を突き立て、宿木の枝を吊るしておきます。こうするとトロール除けになると本に書いてありました。
あ、夕食が出来たんですか? いただきます。
……何故でしょう? 前回と同じ材料の筈なのにこの干し肉のスープ……とても美味しいです。
お肉がホロホロと崩れて堪りませんスパイスの効いた香りも食欲をそそります。
意外とやりますねメイドさん!!
今日の収支
銅貨:-50(再登録料:メイドさん)
-16(夕食材料費×2)
-2 (荷車レンタル)
――――――――
残金:銀貨2枚、銅貨89枚
(゚-゚;)ウーン どうしてこんなに味の違いが……悔しいです。
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