して、恋敵の目的やいかに
リビングに入って由美ちゃんはそのまま三人掛けソファの端に腰を下ろす。
「由美さん。コーヒーでいい?」
「うん。ありがとう」
「真澄は砂糖にミルクだよな」
「うん」
私は由美ちゃんから少しだけ距離を開けて隣に座り、「何しに来たの?」と気持ちを隠すことなく直接尋ねる。
「もう少しオブラートに包むことを覚えようね……」
苦笑いされたが、由美ちゃんとの間に今更遠慮も何もないとは思うけど。親しき仲にも礼儀ありという諺もあることだし、そこは素直に聞いておこう。
「えっと……私に会いたいって言ってたけど、どこまでが本当?」
「あんまり変わった感じはないけど、まあ気になるところはそこだよね」
むしろそこしか気になるところがない。
「綴君のことを、もう少しよく知りたかったんだ。だけどそれを聞くには、なんだかわからないけど、真澄ちゃんの許可みたいなのが必要に感じたの。勝手に聞くことはできたけど、そうしたら、真澄ちゃんに嫌われそうで」
柔和な笑みを浮かべる由美ちゃんに、少なからず私は衝撃を受けた。
普通そんなこと思わない。けれど由美ちゃんにとって、大切だと思う部分がそこだったんだろう。
「由美ちゃんって、思ってる以上にお人よしだったんだね」
「えっ? そうかな?」
「私だったら普通にその時聞いちゃうけどね。でも、それが由美ちゃんなんだね」
「褒められてる?」
「うん。すっごく」
そうか。だからわざわざここまで来たんだ。
「いいよ。でも教えたくないこともあるから」
「うん。そんな根掘り葉掘り聞かないよ。ちょっとだけ……二人のことが知りたいんだ」
「わかった。由美ちゃんだけに、特別に教えてあげるね」
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