マグネット・気だるい兄
「お疲れさまでした~」
「た~」
結局閉店までなんやかんやで居続けた真澄。いったい本当に何が目的だったのだろう?
「真澄」
「何お兄ちゃん?」
「今日真澄が夕飯作る日だよな?」
俺の言葉に真澄は固まったように見えた。
「いっけね。忘れてた」
無言のアイアンクロー。
「ごめん。ごめんて」
「……何か惣菜買って帰るか」
「それがいい、そうしよう」
悪びれもなく真澄は俺の提案に乗っかった。こいつに罪悪感というの文字は存在しないのだろうか?
「私はカツがいいぞ」
「俺はコロッケがいいぞ」
「相いれませんわ~」
俺はどっちでもいいんだけど、どうやら真澄はトンカツをご所望のようだ。仕方ない、今日はトンカツを買って帰るか。
「真澄。ソースかポン酢。どっちがいい?」
「カツドン」
殴ってやろうかと思った。
「お前作れよ?」
「手伝ってよお兄ちゃん。卵とじ上手いじゃん」
「教えてやるからやってみろ」
「ふゎ~い」
欠伸のような返事を返す真澄。なんだかんだ、素直で可愛らしい。
俺は真澄の頭をわしわしと撫でまわす。
「何お兄ちゃん?」
「……何でもない」
そう。なんでもない。
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