第55話 心の旅 宇宙の魔人
修行により己の心の中へ意識を巡らせる進太郎、闇の中を漂っていく。
上下左右前後と言うような空間の知覚がおぼつかない、進んでいるのか?
後退しているのか?と言うのも判らず闇の中を漂流している。
「真っ暗だな俺の心の中、闇は慣れてるはずなのに闇が寂しく感じる。」
闇が寂しいなんてこれまで感じたことが無かった、闇は空気と同じだった。
自分の心なんか気にせず生きていたことを思い知った気分だった。
どの位経ったのか?時間の感覚もわからないまま漂っていた世界に変化が起きた。
闇の中、キラっと光る何かを見つけた。
気がつくと、自分の周りが暗闇からキラキラと光る星空のように変わった。
「人間界のテレビで見た、星空の様子に似ているな。」
モルド姫の言う事は、当たりだったなと思いながら漂う進太郎。
今度は、様々な惑星が間近で見える太陽系の図面のような景色だ。
惑星を一つ一つ見ると、それぞれがこれまで人間界で暮らしてからの出来事
や出会った人達が映し出される。
「・・・・・・・そうか、出会った人たちが俺の光になっているんだ。」
進太郎に、心の宇宙の星々から暖かい光が流れてくる。
暖かさに包まれた進太郎は、気づく。
自分の両手が、先ほどまで漂っていた宇宙になっている事に。
自分自身が、全身に光り輝く宇宙を内包した闇の巨人と化した事に。
こうして、進太郎は己の心と繋がり自身の光を手に入れたのであった。
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