第19話 仲間達の部活事情 かぱ子の場合

数日後、時は進み所は変わる。


ここは、桃ノ島の北にある亀囲町かめかこいちょう


島の観光名所ベスト10に入る亀囲山にある亀囲神社かめかこいじんじゃを中心に栄える門前町。


亀囲神社の名物巫女がいる、亀や河童を使役する相撲と柔術の達人。

川原春子、通称かぱ子の実家である。


神社の祀っている神様は、玄武と安曇野磯良あずみのいそら

玄武は北方を守護する亀の聖獣で、安曇野磯良は海の神様だが河童の神様とも

言われている。


神社内には本殿や拝殿や社務所の他に、土俵や武道場があり参拝客以外にも

多くの人が訪れる町の中心である。


クトゥルフ神話ではダゴンと同一化されたり深き者の親玉にされている神様。

そんな神社の境内を箒で掃除している存在が一匹。


緑のお肌に股には腰蓑、手足に水かき、黄色いくちばしに頭に皿とそれはまごうことなき河童であった。


神社の神使と言う名の労働力である河童の一人、九太郎きゅうたろうである。

だが、この九太郎を悲劇が襲う。


「かぱぁっ!!」

突然、何者かに肘を抱えられ足を内側から取られて担ぎ上げられた後

担ぎ上げた何者かが体を反り後ろに倒された!!


「作務衣くらい着なさいって、言ってるでしょう!!」

九太郎に相撲の決まり手である襷反りを掛けた何者、それこそこの神社の跡取り

であるかぱ子こと川原春子だった。


「・・・・・・・お、お帰りなさいやし、お嬢。」

石畳の参道に打ち付けられた九太郎は体をぴくぴくさせて返事をした。


自宅兼社務所の居間で春子に麦茶を入れる九太郎、妖怪なのか立ち直りは早い。

「・・・・・・嫌ね、世間様の河童のイメージをあっしは大事にですね。」

白い割烹着姿で言い訳する九太郎。


「春子も、九太郎をいじめないの。」

春子の身長を伸ばして胸を大きくした、おっとり顔のこちらはエプロン姿の美人が

たしなめる。


「お母さんは、九太郎に甘いのよ。」

春子がぼやく、家ではかぱ子と呼ばれない。


「・・・・・・いや、お嬢も真面目すぎると嫁の貰い手が。」

速攻で九太郎の手首を絞める春子。


「あああ!!」

九太郎、素早く春子にタップすると春子が技を解く。

「技を掛けたり戦う事ばかり、上達しちゃってるわねこの子は。」


春子の母、先代の巫女である桜さんがおっとりとした声でつぶやく。


「お母さん達が、子供の頃から稽古稽古で鍛えたからでしょうが!!」


春子がつっこむ、子供の頃から巫女修行と称して祝詞や儀式の勉強よりも

相撲と柔術の方に重点を置かれた修行を課せられていたのだ。


「でも、中学の頃はカードゲーム漬けだったわよね?こまちゃんと。」

こまとも面識があるので名前を出す。


「そういや、こまの嬢ちゃんとよく大会に出てましたね妖怪ファイトの。」

九太郎が相槌を打つ。


「高校は部活はどうするの?ゲーム部?」

桜さんが聞いてくる。


「・・・・・・考え中よ、金剛寺さんに女子相撲部には誘われてるけど。」

と、答える春子。


「まあ、エルザちゃんね♪良いじゃない、やってみれば?」

気楽に言う桜さん。


「お嬢なら、日本一になれますぜ♪」

九太郎も桜さんの言葉に乗っかる。


「・・・・・・まだ決めてないわ、他にも心配な人とかいるし。」

春子の言葉に桜さんが


「・・・・・・男の子?」

と直感で聞いてくる。


「・・・・・・え、ついにお嬢にも春が!!」

九太郎も驚くが再度、春子に裸締めを掛けられてタップ。

そして、春子が技を解く。


相手がタップで降参したら技を解く、それがモラル。


「ある意味、鍋島さんより厄介なヘルグリム君の面倒も見ないといけないの。」

春子、友達思いである。


「・・・・・・ヘルグリムって、あの大魔王のですかい?」

九太郎がほーと言う顔をする。


「その子のこと、好きなの?」

桜さんはまだ、引っ張る。


「友達だからよ残念ながら、恋愛対象じゃないわ。」

自分の預かり知らない所で、恋愛対象外された主人公の進太郎であった。








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