第28話 禍津毘古

古いお寺の跡地。

三対三のサッカーは、僕のボールが小さな祠を壊したところで中断になった。


「なあ、なんで七人いるんだ?」


「あれ?」


「いつの間にひとり増えた?」


「……そういや爺ちゃんが言ってた。うんと昔、ここいらには仲間のフリをして紛れ込む人喰い鬼がいたんだって」


僕たちはお互いを見た。

みんな同じクラスだから、知らない顔はひとつもない。

でもこの中に人喰い鬼がいる?


「お、俺は違うぞ」


アキラが叫んだ。


「俺たち同じチームだったものな」


アキラとともにカズヤとサトルが手を上げた。


「俺だって違う。こっちのチームにいたのは」


タカシとともにナツオとマガツヒコが手を上げる。

なぜか手を上げることができなかった僕に、みんなの視線が集中した。


「嘘だ!僕は違う!」


「うわぁバケモノだ!」


アキラたちが逃げようとして、


「まあ待てよ。こいつ弱そうだし、いっそみんなで殺っちまおうぜ」


マガツヒコが呼び止めた。



大きな牙をガチガチさせて。

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