第28話 禍津毘古
古いお寺の跡地。
三対三のサッカーは、僕のボールが小さな祠を壊したところで中断になった。
「なあ、なんで七人いるんだ?」
「あれ?」
「いつの間にひとり増えた?」
「……そういや爺ちゃんが言ってた。うんと昔、ここいらには仲間のフリをして紛れ込む人喰い鬼がいたんだって」
僕たちはお互いを見た。
みんな同じクラスだから、知らない顔はひとつもない。
でもこの中に人喰い鬼がいる?
「お、俺は違うぞ」
アキラが叫んだ。
「俺たち同じチームだったものな」
アキラとともにカズヤとサトルが手を上げた。
「俺だって違う。こっちのチームにいたのは」
タカシとともにナツオとマガツヒコが手を上げる。
なぜか手を上げることができなかった僕に、みんなの視線が集中した。
「嘘だ!僕は違う!」
「うわぁバケモノだ!」
アキラたちが逃げようとして、
「まあ待てよ。こいつ弱そうだし、いっそみんなで殺っちまおうぜ」
マガツヒコが呼び止めた。
大きな牙をガチガチさせて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます