• 私書店員、ラノベ担当。

  • 第4章 書を捨てず、町へ出よう イベント回顧録
  • 番外編3・4
  • 本屋の中にいるだけが仕事じゃないのです。

番外編3・4

本屋の中にいるだけが仕事じゃないのです。

 これまで4回にわたり「外部イベント編」と銘打って書店の外でのお仕事について触れましたが、そのついでというということで、番外編として日常的な外回りのお仕事であった「配達」について書いていこうと思います。

 大枠ではライトノベルの内容と離れてしまいますが、実はほんの少しだけラノベ要素があります……! その内容についてはお楽しみに。

 というわけで。第4章「外部イベント編」の番外編、配達編をどうぞ!



 まずは配達という業務について説明をさせていただきますね。


 日頃書店を利用いただいている一部の常連さまには、会社さんや個人経営のお店さんだったりという層も多数存在します。

 そういった常連さんは毎月定期購読されている雑誌などを全て合わせると膨大な量になる場合があります。日によってはとてもお持ち帰りするには非常に重く難儀するほど。

 加えて、各雑誌発売日もバラバラです。たくさんある雑誌をその発売日ごとに取りに来るのもたいへんな労力です。


 個人の経営なさってるお店などの場合、お仕事の手が離せなかったり、また最寄りの書店から離れている……等々の理由で、なかなか書店まで足を運ぶことが困難という事情もあるでしょう。

 

 なので、そういった個人の商店さんや、会社さんに直接書店員がうかがい、定期購読していただいている雑誌などをお届けする場合があったのです。


 2店舗では店長がすべておひとりで請け負っておられたのですが、1店舗目の書店さんでは、雑誌担当だったからというわけではありませんが――

 この「配達」と、その配達先さんから毎月徴収させていただく「集金」が平日の私のメインのお仕事でした。

 あ、といっても最大3人から4人ほどで手分けして行っていたので、すべて1人でやってたわけではありませんけどね。

 

 夏場とか雨なんかはほんと地獄でした……(苦笑)

 暑いときの外回りは汗だくになったものです。

 しかしなんといっても大変だったのは、そう、雨。自分よりも本が濡れないように守らないといけませんでしたからね。たとえズブ濡れになったとしても、自分の身体よりも商品である本のほうが大事だったという……(笑)

 まあそんな話はおいといて。

 

 小さな書店さんであったとしても、実は定期購読してくださってるお客様を意外なほど多く抱えていらっしゃるもの。そのすべてを配達していたのではとても回りきれません。なので配達を承るにも、金額面や距離など、一定の条件がありました。

 それは各書店さんの規模によって大きく差が出るところでしょうし、それを申し上げることはできませんが……

 その一定の条件をクリアしたお得意先を回るだけであったとしても、総数は数十件にのぼりました。

 

 ……それの何が問題って、場所を覚えることですよ(笑)

 最初はなかなか配達先の名前と場所が一致せず、携帯で位置情報を検索したり、いったんお店に戻って場所を聞き直したりしていたものです……(苦笑)

 ひどい時は1時間以上迷って、定時にあがれなくなってしまったり……(泣)

 配達する本を別のところと取り違えてしまい、取りに戻ったり……いやはや思い出してみるとひどい失敗も多かったものです。

 

 移動手段はほとんど自転車でした。一応駅前だったのであたりにはいろんなお店があり、そうった近くの場所を回るなら自転車がいちばん小回りが効くのですよね。

 逆に言えば自転車で回れないような遠いところは配達先としては除外されていたともいえますが……いくつか例外もあって、いちばん遠いところでは違う自治体にあるところにも行ってましたね。

 


 なんでそんな遠くのところにも行ったりしていたのか、というのには事情がありまして。

 その付近には私のいた書店より近いところはあったのですが、なかなか配達業務に消極的なところも多く、引き受けてくれるところがなかったそうです。

 理由は、手間がかかるということに尽きるでしょう。それに割かなければいけない人件費も、毎日のこととなると大変です。費用対効果を考えて配達を承っていない書店さんも多いのです。


 逆に私のいた書店のように配達を承ることの利点は、常連さんによる確実な収入が見込めるということに尽きます。

 配達をご希望なさるところは、多くの場合購読してくださる点数も多く、1件あたりの単価は非常に高い。

 また本当に専門的な雑誌――特に理系、情報処理関係の専門誌とかはですね、1冊だけで数千円どころか諭吉を1枚出しても足りない、なんてものもちらほらあります。そういった本を取ってくださる配達先の存在を考えると、労力を考えても逃してしまうには惜しかったといえるでしょう。


 特に店長さんが行っていた2店目の場合、人件費は発生しませんしね。また、店じまいしたほかの書店さんからお得意先を引き継いで配達件数が増え、売り上げに占める配達の割合は無視できなくなったのも大きかったようです。

 今改めて考えると、店長さんは本当に大変だったと思います……!

 

 

 さて。このへんはサラッと流してしまおうと思っていたのですが、想定よりもかなり長くなってしまいました。まとめる力がなくてすみません。

  

 それではどんなところがどんなものを購読なさっていたのか?

 ご迷惑のかからない範囲でざっくり言うと、こういった感じに分類できるかと思います。


 

①喫茶店、外食店

 主に個人で経営なさっている外食屋さんです。主に週刊誌ですね。「少年ジャンプ」や「週刊文春」「フライデー」「女性セブン」など。


②医療施設

 ○○クリニックなど、個人経営の比較的小規模の病院さん、また歯科医院など。

 順番待ちの方のための週刊誌がメインになります。取っている雑誌は①とあまり変わらないと思いますが、時々専門書をお取り寄せなさる場合もありました。


③美容院、理髪店

 こういったお店では順番待ちやスタイリングを決めるときに指定する時のためにファッション誌を多く取ります。

 特に美容院は毎月非常に多くの雑誌を取って、さまざまなお客様の需要に合わせる必要があったので、その出費もなかなかのものだと思います。 

 「JJ」「ViVi」「CanCam」「an.an.」「VERY」「CLASSY」といった女性誌のほか「MEN'S NON-NO」などの男性誌、「女性セブン」などの週刊誌も。

 男性も多く訪れるところなどはコミックの単行本などもありました。

 

④一般企業・事務所など

 主に「週刊ダイヤモンド」「週刊東洋経済」などのビジネス誌が主体になります。また、多く出張があるようなところですと、「時刻表」も必需品だったようです。

 中には通常あまり書店で見慣れないような、非常に専門性の高い雑誌なども購読なさってる場合もありました。たとえば「建設物価」とか。

 


 ほかにもいろいろな配達先がありましたけれど大まかにはこのくらいに分類できるかなと。

 とはいえ……「ここまでライトノベルのラの字も出てないじゃないか」と疑問に思われた方もいらっしゃるのではないかと思います。

 

 というのも実はですね……場所が特定されてしまうため多くを申し上げることはできないのですけれど、あるところにマンガ雑誌やアニメ情報誌を配達しておりまして。

 そこから特定のコミックやライトノベルの注文を承り、お届けしていたという事例がございます。

 

 ……ほんとですよ?


 それはいったいなんでだろう? というところまで説明してしまうとその配達先さまにご迷惑がかかるのでお話できないのが残念なところでございますが……

 そういった業界関係のお得意様がいらっしゃったということと、ライトノベルといった普通の配達業務からは全く想像もできないような書籍をお届けすることもあった、ということだけお伝えさせていただき、このお話の締めとさせていただきましょう。

 

 それでは次回からは第1章のような書店員、ラノベ担当あるあるの原点回帰でお送りいたします。エッセイコンテストは終盤に差しかかっておりますが、その結果如何に関わらず更新は続けて参りますので、今後も変わらぬユル~いお付き合いを何卒よろしくお願いします……! ではでは。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

応援した人

応援すると応援コメントも書けます

ビューワー設定

文字サイズ

背景色

フォント

一部のAndroid端末では
フォント設定が反映されません。

応援の気持ちを届けよう

カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック!

アカウントをお持ちの方はログイン

フォロー機能を活用しよう

カクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう!