番外編1・2

私が嫉妬したある書店

 5日ぶりの更新ですね。一応生きてます。すみません。

 今回は第3章の内容ともかけ離れているため、番外扱いでお送りいたします。

 当初はこの3章の番外編も1回分のつもりで、完全に予定外の更新なのですが、どうか最後までお付き合いいただければさいわいです。



 先週の金曜日、本来は出勤日だったのですが、たまたま仕事が休みになりました。なので、ちょうど欲しかった本もあったので、本屋さんへと行くことにしたのです。


 私のいた書店からけっこう離れているのですが、専用駐車場も敷地にあるくらいに割と大きめのところが1件ありまして。私が最初に勤めた書店とほぼ同じくらいの規模でしょうか。駅から離れているのでやや交通の便は悪いものの、私的な買い物によく利用させていただいていました。

 

 何よりもそこは、ライトノベル売り場が広く、商品の揃いが尋常ではなかったのです。そんじょそこらのアニメ専門店よりもよほど充実していたのではないでしょうか。

 そこは私が1店舗目で雑誌担当していた頃からそうで、特別にライトノベルを重点展開していました。

 担当されていた方がやり手だったのでしょう。アニメ化されたあの作品も潤沢に取りそろえ、話題作を見抜きいち早く強化する眼力も確か。効果的な平積みと面陳による展開。私が喉から手が出るほど欲しかったあの本もこの本も……圧倒されるほどに敷き詰められているではありませんか。

 


 ――そう、担当者として思わず嫉妬してしまうほどに。


 

 1店舗目にいた頃は担当が違っていたこともあって、同規模の近隣書店に勤める者としてひそかにライバル視させていた程度だったのですが……

 私が2店舗目の書店で文庫担当をさせていただいていた時には、当時とは違う角度で見るようになりました。


 文庫担当者としてその書店さんのライトノベル展開は大いに刺激になりましたし、また何をどのようにして展開しているのかひそかに「偵察」しました。


 書店員さんってほかの書店の陳列とかを見て売れ筋の商品はどれであるかとか、陳列テクニックとかを観察して「盗んで」いるのですよ。 

 ほかの本屋さんに入ったら、ごく自然に気になりますからね。

 「あ、ここの書店さんはこれを今推しているのか」とか、逆に「あ、これこんな目立たないところに棚差しになっててもったいない」とかね(笑) 

 前任の方も「ブッ○ファ○スト」さんをはじめとした様々な書店をくまなく見て周り、フェア展開などの参考にしていたそうです。


 まあこのあたりは、ほかのご職業の方であっても、同業他社さんのことが気になって調べに行ったりすることもあるかもしれませんね。

 


 あ、盗んでいるっていっても万引きじゃないですよ!!!

 万引き、ダメゼッタイ。


 

 ……ゴホン。失礼しました。

 そんな、書店員目線で見るとたいへん羨ましい品揃えをしていた、力ある書店さんだったのですが――おそらくはこのエッセイをお読みいただいている方で、カンのいい方でしたらこのあとに続く言葉はすでにお察しのことだと思います。



 閉店のお知らせ


 

 6月21日現在もまだ営業されておられるので、その場所や時期についてはここで明かしてしまうとご迷惑がかかるでしょうから伏せさせていただきますが……入口前には遠からぬ終焉を告げる悲しい張り紙。

 他店さんのことながら……この手のお知らせは何度見ても、慣れませんね。

 

 自動ドアの前からも明らかな、胸が締め付けられるほどの異変。コミックはまだまだ多く残っているものの、文庫や一般書籍の棚を中心に、半分以上が空いた状態でした。

 残っているのは最近出たばかりの新刊が少しと、今期から来期にかけたアニメ化ライトノベル作品など、ごくごく一部。

 


 ……ああ、これが、閉店か。


 

 前の店の振り返りエッセイを書いていてこんなことを言うのもおかしいですけれど、久しく忘れていた感覚が再び呼び起こされた瞬間でしたね。

 と同時に、ひどく愕然としました。

 信じられない。ここほどの品揃えを誇る店でもダメなのかと。それほど現在書店を取り巻く環境は厳しいのかと。


 こんなことだったら、もっとそのお店にお金を落としておくべきだった。


 ――などと、数年前によくお世話になっていたあるお店が閉まったときにも同様に感じた後悔と共に、目的の本を買ってその書店さんを後にしました。

  

 

 特に最近はおそらくは多くの方が、よく行っていた書店さんが閉店してしまったという経験がおありのことと思います。  

 レビューを下さった方も触れてくださっていますが、今書店は恐るべき速度で減少を続けています。

 本好きの方の中には本屋さんの雰囲気が好き、といった方々も多いことと思います。

 最近はよく言われるWEB販売サイトだけではなく電子書籍の分野も成長を続けております。紙の媒体を求めにわざわざ足を運んで買い求める、という行為そのものが徐々に古いものなっているのかもしれません。

 時代の趨勢、と言われればそれまでなのですが……やはり寂しいものですね。

 

 

 ――と、紙の媒体との向き合い方についてWEB媒体で書いているということにやりきれなさのようなものを感じつつ、今回はこのあたりで。

 次回は書店員として商品を売っていくうえで「こうしておけばよかった!」と後に後悔したことについて書かせていただきたいと思います。

 それでは、また次回お会いいたしましょう。

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