よい意味での放任主義

 こんにちは。また少し久しぶりになってしまいました。

 今回の更新も店長について振り返りたいと思います。

 前回の更新だけで終わったのでは、あまりにもあんまりですからね(笑)



 私の行っていた書店は店長の親御さんが社長を勤める一族経営の会社、という体裁を取っていました。このエッセイで繰り返し「小型書店」と言っておりますが、店長がまだ幼かった頃は、もっと小さかったそうです。

 ほとんど通る場所もないくらいに狭い中に本が敷き詰められているような、そんなところだったそうです。昔ながらの町の書店、と言われてみなさまが想像なさる風景かもしれませんね。


 本屋の子なんだから、常に新しいマンガが見放題じゃん、と周囲からはうらやましがられていたそうです。

 確かにそういう利点はあるものの、本ばっかりで狭いからやだ、とこどもの頃は思っていたのだとか。本屋といういわば「家業」を継ぐことになろうとは最初思ってもみなかった、と笑い飛ばしながらおっしゃっていたのが印象深かったです。

 特に最後あたりには、そのような昔の話をよくされたような気がします。

 私のような、たかだか2年そこら程度の人間には計れない、さまざまな思いがあったのでしょうね。



 そんな風には一度もおっしゃらなかったですけれど、店長さんからしてみれば親の代から2代にわたって引き継いだ書店です。ご自身にも家庭もありましたからなおさら、ここは自分が背負っていく店だ、という自負が強くあったはず。

 

 だからこそ、たかだか1年そこらの私に担当を持たせてもらえたというだけで恐縮至極です。


 しかもかなり自由にやらせてもらえました。


 私のいた期間は、残念ながら閉店も考えなければならぬほど逼迫ひっぱくした状況。

 前の店で数年の担当経験があったといってもそれは全く違う店で、しかも違う分野。店長ご自身でおやりになられた方がもっと利益になったであろうことなど、誰の目にも明らかであったにもかかわらず、です。

  

 いくら私が店でほぼ唯一オタク的素養があり、ライトノベルの知識があると見なされたといっても、私など未熟もいいところ。店長から見れば、なんでここはこうしないんだ、と思っていたところもあったことでしょう。

 もちろんアドバイスを受けることは多々ありましたが、それでも最終的に文庫コーナーを展開する段階ではほぼ完全に一任されていました。

 ごく初期に、あまり私のいた店では動かなかった、ある出版社の文庫は入れなくてもいいと言われたこと以外は、ダメ出しをされたことはほぼなかったと思います。

 

 いい意味での放任主義、とでもいいましょうか。

 よく一緒の時間に入っていたコミック担当者さんに対しても昔からそうだったらしいですね。なので元来そういう方針の人なのでしょう。

 

 しかしこの放任主義教育、いざ自分が職場で実践してみようとすると案外難しいことに気付かされます。

 私などは、ついついなんでも自分でやろうとしてしまう。

 でもそれをしてしまうと、あとの人が育たないんですよね。

 それが悪い癖だと自分でもわかってるので最近はあえてほかの人に任せるようにしてますけれど……

 人に全てを任せるというのは、それ相応に信頼していなければできることではないのです。


 だからと言って私が店長から全幅の信頼を得ていた、などと言うのは思い上がりでしょうけれど……

 

 それだけに、結果として期待に応えられず1年保たせられなかったのは非常に残念でした。

 店長さんはそんな私にも気を遣い、「折角がんばってくれたのに力不足で申し訳ない」という趣旨のことをおっしゃって下さいましたが――

 正味の話、当時ご自分のこれからのことを考えたり、閉店のための諸々の準備や手続きだけでも大変であったはずなのに。

 私がもし同じ立場であったなら、自分のことばかりに汲々となってしまい、周囲の方々を励ます言葉をかけることなど……できる自信はありません。

 いわんや結果を出すことができず、むしろ却ってお店の寿命を早めてしまったかもしなかった人間などに――です。

 

 しかも閉店後、ご自分の今後のこともあろうにお別れ会の時に飲み代も出してもらってしまって……むしろああいう場では私など周りが出すべきだったのに。

 本当に最後までお世話になりっぱなしでした。すみません。

 人間追い詰められたときに本性が出るとはよくいいますが、そういった醜さがまるでなかった。これは本当に凄いことだと思います。

  

 改めまして、短い間ですが大変お世話になりました。

 短い間ではありましたが、あの書店での経験は生涯忘れることはありません。

 

 

 ……しんみりした内容になってしまいましたね。すみません。

 次回からまたテンションを元に戻そうと思います。

 

 それでは、またお会いいたしましょう。 

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