第3話 願わぬ戦
リンドが旅立って1ヶ月、リンドは一つの国にたどり着いた
国の名は「カルバトール」
その国は小さく兵力も国の直属の兵士よりも雇い入れた傭兵の数の方が
圧倒的に多いのがこの国である。
それゆえ流浪の傭兵はこの国に雇い入れてもらおうと皆がこぞってやってくる
という。
リンドもその一人になるのだ。
リンドは自分の荷物を担ぎ城門を潜ろうとしたその時
「おい、止まれ」
その声は男のようだ、リンドは呼び止めた声の主の方に振り向く
その視線の先には使いふるされた甲冑を身に纏った兵士であった
「ん?なんだ?」
リンドは素直に呼び止められた理由について尋ねる、そうすると
甲冑の兵士はリンドを舐めるような目つきでこう言い放った。
「見た限り傭兵の様だが、まだガキじゃねぇかよ
おいおい坊ちゃんは家でママにおしめでも変えてもらってな!」
その言葉にリンドの眉がピクリと動く、そしてリンドは兵士の前に立ち
吐き捨てるようにモノを言った
「ケンカ売る相手間違ってるんじゃないですかね、こんな所でケンカ売る暇あったら敵国の兵士を一人でも多く殺した方が良いと俺は思いますけどね」
フッと相手を挑発するように言い放った言葉は相手の怒りを誘うには十分だったようだ、その言葉に対して兵士は予想の通りの反応をみせる。
「てんめぇ、口だけは達者なようだな
けどなぁ此処は己の腕だけが信用できる世界なんだよ、口が達者なだけじゃ生きていけねぇんだよ!このクソ餓鬼がぁ!」
兵士は頭に血が登っているようで大声でどなりちらし始めた、そこでリンド
がとどめの一言を言い放つ
「口だけじゃ生きていけなくてもあんたみたいな頭でっかちにはこの口はよく効く
ようだな」
その言葉で兵士は怒りが絶頂に至ってしまった
「あぁ分かった、てめぇを今ここでたたっきってやる
あの世で後悔するんだなこのガキがぁ!」
そういい終わると兵士は自分の腰に携えた剣を引き抜く、その動きはわざと大きく動き相手を威嚇するような動きであったがリンドにはそれを見抜かれていた。
「そんなノロい動きで剣を引き抜いてたんじゃアンタ2回は切られてるよ」
「最後まで舐めた口してんじゃねぇかぁ!あぁ!」
そう叫ぶと兵士は剣を大きく上に振り上げリンドに襲い掛かる
リンドはそれを視界に捉えると同時に右足を半歩後ろに動かし
背中の武器のグリップを握り締める、そして目を細め相手の動きを凝視する
兵士が間合いを詰めリンドに切りかかるその瞬間、周りの人々は足を止める事になる。
兵士の剣が振り下ろされようとしたその瞬間に一瞬、ほんの一瞬大きく風が吹く
その風は自然の風では無かったと言う事に気づくのは難しい事ではなかった。
一瞬吹いた風が過ぎた後、周りの人たちの視線は空を見つめていた
その見つめる先には剣を握り締めた両腕が、両腕だけが宙を舞っていた
それに追いつく様に真っ赤な鮮血が宙に飛び散る
「あぁぁぁぁああぁぁぁ!!!何しやがったぁぁぁああ!」
兵士の叫び声が辺りを包む、しかし次に人々の視線が向けられたのは両腕を切り飛ばされた兵士ではなくリンドの持っている武器だった。
それは人々の視線を集めるのには十分過ぎる代物だった、リンドのボロ布のマントに覆われていたそれが姿を露す、それはまさに「鉄」そのものであった
リンド自身も身体が大きかったがそのマントに一緒に覆われていた代物は本人の身体を大きく越していた、マントによって隠されていたその武器が今、日の光を
浴びて付着した鮮血が鈍く光る。
ここでやっと人々の理解が追いつくだろう
「あ、ありゃ大剣か・・・にしてもデカすぎる、あの小僧どうやってアレを振りやがった・・・?」
理解が追いつけど人はその光景から目は離せないであろう、異様なその光景からは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます