ファッション(2)


【夫のターン】


 なぜか、俺の装いを見て、妻が固まっている。


「どうだ?」


 自分的には、結構自身のあるコーディネートなんだけど。


「……その……修ちゃん、そのうん……服装って……コンセプトとかって」


 理佳がなぜか、モゴモゴしている。


「まあ、大地だよね」


「……ダイチ?」


 なぜ、カタコトなんだろうか。


「うん。今の時代って、エコだと思うんだ。だから、ファッションも必然的にエコな感じがいいと思ってる。ほら、色見てくれよ。全体的に茶色を意識してるだろ?」


「意識しているというか……うん……もう、まっちゃっちゃだよね」


 確かに、靴もたまたま茶色なので、そう言えなくもないかな。


「……ちなみに、修ちゃんってファッション雑誌とか見たことある?」


「ああ、でもみんな同じに見えるからなぁ。みんな恰好よく見えるんだもん」


 でも、あれってモデル効果であって、結局、なにを着ても格好いい奴は格好いいんじゃないかって思えてくる。

 

「……ちょっと、これ見て」


 妻は携帯を俺に見せてモデルの画像を見せる。


「これがどうかした?」


「どう思う?」


「ん? 格好いいと思うよ」


 どこからどう見ても、格好いい。当然だ。格好いいモデルが格好いい服を着ているのだから、格好よくないわけがない。


「でね――」


 パシャ


「これが、修ちゃん」


「だな」


 どっからどう見ても、俺だ。


「このうん……ファッション、どう思う?」


「……いや、まあそりゃモデルさんたちみたいに格好よくないよ。値段だって違うわけだし、そもそも容姿だって違うわけだし」


「他には?」


「ん?」


「他にはなにも思わない? このモデルさんたちとうん……修ちゃんと比べて、本当に他にはなにも思わない?」


「ん―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――……」


「……」


「ヒントとかない?」


「……私は、この単純明確なことに対して、それだけ考えているに対して、私は素直に驚愕しています」


 なぜか敬語で数歩下がる妻。


「なぞなぞ系?」


「……断じて違います」


 違った。


 うーむ……しかし、このモデルと見比べても、全然わかる気がしない。アイテム……アイテムの問題なのかな……


 !?


「……そうだったのか」


「わかってくれました!?」


「ああ、ちょっと待ってて」


 ええっと……ええっと……あった!


             ・・・


「これだろ!? サングラスとニット帽。要するに、茶色感が足らなかったんだ」


「……違う」









 妻が、ボソッと、言った。



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