カバディ
【妻のターン】
「カバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディ……」
「……ああああああああああっ!」
「ど、どうしたの修ちゃん!?」
「寝室でカバディやってんじゃねーよ! ってか、カバディってなんだ!?」
カバディは、南アジアで主に行われるチームスポーツである。インドの国技でありインドから発祥した。源流はマハーバーラタに遡るといわれ、古代に起源すると考えられている。最も大きな特徴として、競技中に、攻撃者は「カバディ、カバディ、カバディ……」と連呼し続けなければならないというルールがある。
「携帯のウィキペディア見ながら解説するな! 俺はそう言うことが聞きたいんじゃないんだ」
「妻のダイエットに協力してよ!」
「するけど別のにしてくれ!」
「例えば?」
「ほらっ! インスタでもピラティスとかあるだろ?」
フッ……
「おまっ……今、鼻で笑ったのか!? 鼻で笑いやがったな!」
「修ちゃんだって……本当は思ってるんじゃないんですか?」
「なにをだよ!?」
「ピラティスなんて、最近の流行りなだけで、なにを格好つけてるんだってね!」
ビシッ! と指をさす私。
バシッ! と手を払いのける夫。
「俺はお前がカバディやって、なんで普通に運動しないのか不思議に思ってるよ! だいたいカバディって競技だろ! 2人必要なのに、なんで1人でカバディやってんだよ」
「……気づいてくれないんだ」
「えっ……」
・・・
夫は戸惑っている。
「私が……なんで一人でカバディカバディ言ってるのか……なんで修ちゃんと私の寝室でカバディカバディ言ってるのか……気づいてくれないんだ?」
「……いや、だってお前……」
夫がオロオロしている。
「こんなにカバディカバディ言ってるのに……」
「……」
夫が悩んでいる。
哀しそうに、下を向いてみる。
「……ごめん、里佳」
静かに私をギュッとしてくれる修ちゃん。
「えっ?」
「俺、わかってなかった……最近、帰ってきて遅くまで仕事ばっかりで、全然お前に構ってやれなかった。カバディはお前が一緒にやりたいって……寂しいよって……そう言うサインだったんだな?」
「ううん。単なる嫌がらせ」
・・・
「このヤロ――――――――!」
グーリグリの刑が発動した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます