第28話 告白の方法



 メールでの告白はあり?なし?という質問項目を見かけた。


 行為のみを考えれば、メールで行おうが、他の方法で行おうが問題はない。

 でも、告白という事実を相手に伝える方法とすれば、真意を伝えきれない。


 だって、「○○がありました。。」なんて連絡事項を伝えるだけであれば、情報伝達のみであるのだからどんな方法であっても伝わればそれで十分だ。いや、もちろん、伝える人間、伝えられる人間の関係によって、誠意があるかどうかが問題になるかも知れないが、それはここでの主題ではない。


 しかし、気持ちを伝えようと思えば、単なる伝達行為のみでは不足である。

 それは、伝える側の気持ちがどれだけ強いものかを相手に教えることも同時に必要だからだ。

 それは、伝える側にすれば一種の試練ではあるけれども、伝えられる側からすれば信用すべき内容があるかどうかを判断する重要な材料になるのだから。


 手紙であれば、メールよりはずっと真剣味を感じられる。

 下手な言葉で伝えるよりも、悩み抜いた手紙の言葉の方が強く訴えかけることだってある。


 直接口で伝えるとしても、その気持ちを伝えられる側がどれだけ信じられるかで、意味がかなり異なってくる。

 冗談っぽく感じればそれだけのことだし、軽く感じられればやはりそれだけのことでしかない。

 もちろん、伝える側からすればそんな余裕などあるはずもなく、あるいは自らの心の負担を軽くするために敢えて本音を飾り立てる。


 けれど、告白を正当な、あるいは「有り」と感じるのは、告白を受ける側の特権である。

 だから、告白する側にはそれを評価する権利は全くないのだ。

 ストレートな告白をOKとする相手もいれば、ムードを大切にした告白を良しとする者もいる。


 そして、告白される側からすれば、当然ながら意中の人からの告白であれば「たいていの場合」内容なんてどうだって良い。告白されたという事実のみが優先される。


 とすれば、告白を評価しようなんていうのは、少なくとも大本命ではない、あるいは本命がいない。。。そんな場合ってことになる。


 さて、告白を受ける者からすれば、その告白が唐突なものなのか、あるいは予期できたものなのかによっても受け方は変わるだろう。

 そして、予期せぬ場合ほど、今度は告白を受けた側に余裕が無くなる。

 あまりに唐突なため、自らの気持ちを整理する暇がないのだ。


 だから、わざと誤魔化したり、曖昧な態度を取ったり、知らぬフリをしたり。


 すると、告白を直後に冷静に評価できるのは、、、

 本命ではなくて、しかも告白が何となく予想できた場合。

 確かにこの時に、メールでの告白じゃ誠意は感じられないよな。

 でも、仰々しすぎる告白は重すぎる。

 出来ればスマートに。。。とお願いしたい。


 いや、それは贅沢な話ではないか!

 告白されるという事実だけで、本来は十分嬉しいはずなのに。


「如何に真意を的確に伝えるのか、ではなくて如何に効果を最大化するかが告白のもっとも大きな問題である。」

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