マインド・ブレイク!
マインド・ブレイク!(1/3)
「委
「や、やあ、川崎君……」
さっそく川崎氏は、山田ヒロハル青少年に対して性的対象と見なしているようだ。
キャサリン氏の言っていたことは、本当だったみたいだ。
「……」
如何にも、この山田ヒロハル青少年は、ネコである我が輩達を観測出来る人間なのだ。
「
「二人目? ……い、いや何でもない、ぼーっとしていた。ところで、川崎君は何故学校に?」
「委員長だって、
「暴……力?」
親から暴力とは、山田ヒロハル青少年よ。君にとってはとても聞き捨てられない言葉ではないか?
「……まさか」
山田ヒロハル青少年の中で、ある物事の辻褄が結びついた。
「ねぇ? 委
「いや……大丈夫だ」
山田ヒロハル青少年はズボンのポケットからある物を取り出した。
「これは、君の口紅だろ?」
それを川崎氏の目の前に差し出す。
「イニシャルが掘ってある。M・Kって……」
「ん? ……あ! そうそう!
そうであろうが、山田ヒロハル青少年は迷っている。
彼女に尋ねるべきかどうか――
「委員長ありがとね! でも、何で委員長はずっと持ってたの?
「いや……そうじゃないんだ……」
山田ヒロハル青少年は、浮かない顔で話し始める。
「すぐ返さなかったのはすまない。だが、これ君に返すと同時に、私の立場から君に聞かなくてはいけないこと出来てしまうんだ」
「ああ……だが、それはクラス委員長として川崎君に聞くことであったんだが、私自身は逃げていたんだ……」
一つ溜め息を吐く山田ヒロハル青少年。
「川崎君……これを見つけたのは焼却炉の中だ。ついでにキャサリン君の靴の中に……」
「やっぱり、君はキャサリン君をイジメてたのか」
川崎氏のことは嫌いではなかった。寧ろ自分に話しかけてくれる数少ない女性として好感の思いも持っていた。
だが、薄々分かってはいたのだが、その川崎氏はキャサリン君をイジメに加担していたのだ。主犯かどうかまでは分からないが、どうしてこんなことをと山田ヒロハル青少年の胸を締め付ける。
いや……動機も今何となく分かったのだが……
「いや、皆死んだりなんかしない。あれはマスコミの大嘘だ。皆誤情報に踊らされているだけなんだ」
どうしたというのだ山田ヒロハル青少年? 嘘まで吐いて随分と大きく出るではないか? 確かに我が輩の力を引き出せれば食い止められるかもしれないが、必ずではないのだぞ? それほど、止められる自信があるということなのか?
「……皆にはちゃんと未来が来る。明日も明後日も明明後日も来る。だから、もうこんなことしないと誓って欲しいんだ。私は川崎君にそんなことをしてほしくないんだ」
そして、川崎氏は笑顔で顔を上げる。
そう良いながら川崎氏は山田ヒロハル青少年の手を掴み、自身の胸に手の平を押し当てた。
「うおおおおお!」
山田ヒロハル青少年の思考は一瞬で沸騰してしまう。
山田ヒロハル青少年は、川崎氏のカウンターパンチをもろに受けてしまったようだ? 彼の意識全てが手の平に集中してしまい、おっぱいという単語の羅列しか思い浮かばなくなってきた。
我が輩も、これ以上はおっぱいしか言えなくなりそうである。
「どう委員
片手では到底収まりきらない圧倒的な存在感と弾力を前に、山田ヒロハル青少年の興奮度は上がる一方である。
「や
確かに、この興奮度なら接吻だけで絶頂に到達するかもしれない。そうでなくとも、セックスまで至れば隕石を食い止めるまでの力を得ることも出来るかもしれないな。
「あ……ああ……」
「委
さらに手を胸に押しつけてくる。
「ア
「ま、毎日……」
山田ヒロハル青少年、これはまたとないチャンスなのだ。この興奮度なら、後は性行為に及べば力を発揮出来る。
それに、隕石を阻止した後も川崎氏と毎日のように性に溺れた生活を送れるのだ。毎日、夢にまでみた大きな女性の胸を好き放題出来るのだぞ。
「好き……放題……」
何とか理性を保っている状態である。
「
「え……」
山田ヒロハル青少年も似たような境遇を受けていたな。互いに同じ痛みを分かち合う者同士だったのかもしれない。非常に相性の良い関係だと我が輩は思うぞ。
「……」
何を迷っていんだ山田ヒロハル青少年。こんな好条件に巡り会えることはほとんどない。
人類が救えるのだ。
「う、うわあああああああああああ!」
山田ヒロハル青少年は、何故か無理矢理胸から手を離した。
爆発寸前の思考回路と胸の感触が名残惜しいせいで、頭を抱えている。
どうした山田ヒロハル青少年。何故川崎氏を拒絶したのだ。
「……拒絶したんじゃない」
息を整える山田ヒロハル青少年。
「でも……君とはセックスしない」
「
「川崎君のことは嫌いじゃない……寧ろ好きだ。どうでもいい人間では、僕の中ではなかったから、だから君がイジメをしてたのを止めてほしかった。君にそんなことをしてほしくなかった」
「だ、だからもう
「違う! そうじゃないんだ!」
山田ヒロハル青少年は首を横に振る。
「正直に言うと、私だってセ、セックス、し、したいさ。君のことだって好きさ」
そして、山田ヒロハル青少年は真っ直ぐ川崎氏の目を見る。
「でも、この好きは友達としての好きなんだ! こんな気持ちのままセックスしたら、君をただの性欲のはけ口にしか見れなくなってしまうんだ!」
「
すると、川崎氏とネコは山田ヒロハル青少年を睨む。
「委員長、ピュア過ぎ!
「違う!」
山田ヒロハル青少年が今までにないぐらい声を大きく張った。
その声に、川崎氏とネコは圧倒される。
「世間とか皆の価値観がそうであっても……私は川崎君のことをそういう風にセックスしたいなんて思いたくない……」
「え、
突然、川崎氏を抱きしめる山田ヒロハル青少年。
「君を……他の男達みたいに……性欲処理の女とか……人類を救う為の都合の良い女とか……君を道具みたいに見る勇気がない……」
強く彼女を抱きしめる。
「君を……道具として見たくないんだ!」
それでも山田ヒロハル青少年は川崎氏を抱きしめ続けた。
「ゴメン……本当にゴメン……」
「謝
「ごめん……」
謝る山田ヒロハル青少年を川崎氏は見つめ――
「
川崎氏は、山田ヒロハル青少年の胸に顔を埋めた。
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