第8話「なにこのギャルゲー展開・・・」

榑亜は俺の上から降りてベッドに腰掛ける。

「あのさ?なんで俺の家分かったの?」

「えーっと、夢です!昨日、夢でなぜかわかりませんが絢介さんの家にいて、そこからここがわかるようになったのです!!」

「なるほどなーーってそんなの信じられるか!!」

「なんで俺のことを全然知らないのにわざわざ家まで来るんだ?」

「それは好きだからです!!私がこの高校に来る前一度お会いしましたよね?もうそこから絢介さんの事が気になりすぎてまして・・・」

ぬおおおお!!

俺のことを好きだとこの美少女は言っている。

まだだ。まだ舞い上がるな竜宮絢介!!

夢の可能性を大いに秘めているのだ。

右手で拳を作り頬を強く殴る。

「痛ってーー!!」

「どうしたんですか!?」

「いやこれも夢かと思ってな」

「びっくりしましたよ。私に性的なことをしようとして絢介さんの本能を理性が食い止めたのかと・・・。てか先程から思っていたんですけど・・・」

親指を口に咥え恥じらいながらこちらの下半身をチラチラと見てくる。

「どうしたんだよ」

「絢介さんの絢介さんが」

「意味がわからないんだが」

「大きくなっているんですが・・・どうしたんですか?」

それに察してすぐさま俺の絢介さんを見た。

なんか、俺のめっちゃくちゃ大きくなってるんですけど!!

なんで勃っちゃってんの。

無意識のうちにこうなってるとか高校生の性欲高すぎでしょ。

恥ずかしい。

てかもうそれを通り越して死にたい。

榑亜は俺に気を使ったのか軽く咳払いをする。

「それでは気を取り直して、何か他に聞きたいことはありますか?」

「うーん。なんで俺の家にいる?」

「私と絢介さんの新婚ライフを満喫するためですよ」

「俺と榑亜はもう結婚してるんだよな。実感ないなーーって!!なわけ無いだろ!!会ったばかりの人と結婚するほど軽くねえわ!!てかまだ18歳でもねえわ!!」

榑亜の目元は少し赤くなり寂しそうな表情になった。

「そんなにマジレスしなくても・・・」

「今日は疲れたから寝て、また明日でもゆっくり話そう。とりあえず俺の家にいていいから。物とかは俺に聞いてから使え。あと、寝ている俺の半径1mに近づいたら速攻家から出す!これだけ守れ」

流石にすいまが襲ってきたため、榑亜がこの家にいる時の決まりを作り寝ることにした。

「なら少しずつ半径が縮んでいくのはどうでしょう?最終的には0mまで近づいていいということで?」

いやいや、どんだけポジティブ?

「なら帰れ」

「すみません」

そう言えば俺には妹がいる。まだ榑亜の事をなにもいっていない。

もし言ったらどうなるのかなんて考えたくもない。

夢通りだと確か口喧嘩になるんだったな。

それに関しては明日考えよう。

「電気消してくれ」

「私はどこで寝ればいいのですか?」


あ。そうか榑亜もここで寝るんだった流石に床はまずいな。

お父さんたちの部屋ならベッドあるしそこで寝させてもいいよな。

念のため確認をとっておこう。

「俺の部屋以外でもいいか?」

「嫌です」

ですよねー。最初から少しそんな感じがしたよ。

どうせこの部屋以外で頼む!なんていったら話が長くなりそうだし布団でも持ってくるか。

「じゃあ布団とってくるから、そこから動かないで待っててくれ」

「はーい」

俺は、両親の部屋へと行き布団を取り出した。

匂いが臭くないかを確認すると、思った以上にフレグランスのような良い香りがした。

早速それを自分の部屋へと運んだ。

扉を開けると部屋の電気が消えていて深淵の中に佇んでいるようであった。

榑亜に襲われると思った俺はすぐに電気をつける。

それどころか彼女は口をむにゃむにゃと猫のようにして爆睡していた。

寝顔だけは可愛い。この台詞は結構ラブコメもので使われる系統の言葉だ。

まさか自分が使うことになるなんて思いもしなかった。

床に寝ているのに様になる榑亜もすごいか。

って俺のズボンを枕にしながら寝てやがる。とりあえずズボンを取らないと。

早く布団を敷いて、ここに移動させて俺は睡眠につきたいんだ!

榑亜に近づき、頭を支えているズボンをとりだすと社会の窓と呼ばれるあたりが榑亜のよだれで濡れているのがわかる。


「絢介さん。ダメですっ」


色っぽい声をとても小さい声で出している。

ほんとうにこいつはねているのか?

もしかしたら俺に襲ってもいいぞ。とサインを出しているのかもしれない。

「榑亜俺はお前のことが大好きだ」

過去にドラマで聞いたことのある台詞を棒読みで言った。

すると馬鹿な榑亜はすぐにこの罠に引っかかる。

「はい?今なんといいましたか?」

やはり榑亜は寝ていなかった。

俺はすぐに布団を敷き、榑亜を寝かせる態勢に入った。

ここが正念場だいけ!俺!

「明日起きたらご褒美あげるから頼むから寝てください!お願いします!」

もういろんな意味で我慢限界寸前の俺にはこれしかないと思った。

「ご褒美に期待して榑亜寝ます!おやすみ絢介さん」

榑亜は布団に入り目をつぶり、スヤスヤと眠りに着いた。

その時間はわずか1分程度。

眠りに着くの早過ぎ。

絶対ご褒美もらうの狙ってて起きてたんだな。

榑亜も眠いのによく頑張りました。

じゃあ俺も疲れたからベッドに入って寝ますか。

今後の事は明日から考えるしかないし。

ベッドに入り俺は今日のことを思い出しながら目を瞑り眠りに着いた。

ここから色々なラブコメ展開が訪れるなんて知る由もないのであった。

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失恋したら日常生活がギャルゲーになったんだが 繰咲絢 @kurusaki1111

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