読み易い文章、小気味好いテンポで進む物語。10万字超ですが、アッと言う間に読了しました。
下衆の勘繰りですが、作者はサイバー小説コンテストに応募したんじゃないでしょうか。私自身は全くアイデアが浮かばす、早々に不戦敗を決め込みましたが、こう言うアプローチが有ったんですね。
読者が電脳世界を理解し易いようにと、パープリン(我ながら古い表現)の女性を登場させ、主人公が件の女性に講釈を垂れるスタイルを採りながら、丁寧に読者に解説して行きます。だから、舞台設定に戸惑う事が無い。
強いて難を言えば、件の女性に問題解決上の存在意義を与えて欲しかった。でも、こんな感想を抱く理由は、私が性慾の減退した爺ィだからでしょう。青年世代は素直に楽しめると思います。
素人ながら作者をプロファイリングするに、宇宙戦艦ヤマトのファンではなかろうか。薄弱な根拠は件の女性の名前が「雪」だから。でも、2199派だな。40年前のオリジナルではなさそう。
オルタナ界のヒーローが現実ではしがない仲介役に甘んじている。この二面性と落差を効果的に魅せるための構成に、序盤から惹き付けられました。
会話とシチュエーションに上手く噛ませて、設定の開示が単なる羅列文になっていない所も実に好感触です。煩わしさの欠片もありませんでした。
物語の走り出しとしては最高の部類であると思います。そして、常に付き纏う影のように淡々と、かつ着実に迫る魔の手のメタファーに、
今後の展望が否が応にも高まります。これは続きの更新を楽しみにせざるを得ません! ではまた、本日もお疲れ様です!