第62話 吾輩『遠き春』を迎える
吾輩は目を覚ました。こうもりが話しかけてくる。
「旦那、お目覚めですか?」
「・・・う~ん・・・あれ」
「旦那、春が来ましたぜ」
「セバスチャン・・・やっと・・・無限ループから脱出できたな」
「・・・何を言ってらっしゃるんですか?」
「・・・お前・・・」(あれ・・・吾輩がおかしいのか?)
吾輩は中が赤いマントに身を包む。なんか、久しぶりな感じするんだけどな・・・。
まぁ、いいか。
外にでると、他の蝙蝠たちも目を覚ましていた。いっぱいの蝙蝠が話しかけてくる。
「おはようございます、旦那様」
「へいへい、きたな、アインツ!!」
「ここ、こ、こ、こ、こんばんわんこ!!」
「お前らが元気そうで吾輩うれしいよ♪」
吾輩は中々人気ものである。蝙蝠たちにとって、スター的扱いである。しゃべるでかいやつ。
巨人的な扱いなのだろう。とりあえず、進撃しておくか。
「いちご、パンを買いに行くぞ!!野郎共!!」
「旦那、行きましょう!!」
「あぁ、春は坂も楽だからな♪」
そして、心臓破りの坂の前にセットする。吾輩は蝙蝠に話しかける。
「準備はよろしいか?」
「へい!!」
「うむ、それではご解禁だ!!」
吾輩は空を飛ぶ。バンパイアは空を飛ぶと言ってるやつがいるがこれは大間違いである。
人間が空を飛べるわけがない、つる仙人に会わなきゃ教えてくれない。あんな、帽子に鶴ついてるあほなじじぃが空を飛ぶなんて誰も思ないから、教わらないだろう。
どうやって空を飛んでいるかというと・・・。
吾輩はマントの中で蝙蝠達がいっぱい頑張ってくれている。それだけだ!!
『蝙蝠、イン・ザ・マント』これが飛行術の正体である。
「はは、快適だぞ!!」
「はぁ、はぁ、」
「もっと、早く早く吾輩を!!」
「旦那・・・限界が近いっす・・・」
坂の頂上につくと蝙蝠達が力を尽きる。・・・・
時間制限があるアトラクションだ。結構待ち時間長かったのに・・・一瞬で終わる。
それが、アトラクションなのだろう。
「では、歩いていくか・・・」
辺りは桜の花がたくさん咲いていた。何故だろう・・・桜というのは人を癒す。
新しい何かが起こる予感もくれる。始まりの合図をくれる木。それが桜というものかもしれない。一面ピンクの道を吾輩は街に向けてあるく。
そして、ある家のドアを開ける。
「いらっしゃいませ♪」
「・・・」
吾輩はパン屋に入った。中でパンを選ぶ。けど、目当ては決まっている。すると、女子高生が話しかけてくる。
「いつものあれですよね♪」
「えっ?」
「お客様目立つから・・・コスプレしてて♪いちごパンですよね♪しかも、半額で♪」
「////」
「旦那・・・ばれてますね♪」
「きょ、今日は違うかもしれないぞ!!吾輩は!!///」
「えっ!?・・・吾輩・・・ぷぷぷ」
女子高生がクスクス笑っている。大人を馬鹿にするのは良くないぞ。けど、なんだろう・・・。
心が温かくなるような笑顔であった・・・。
「ごめんなさい・・・どうぞゆっくり選んでください」
「これだ!!」
「はい!!いつものですね♪」
お会計をしながら女子高生が話しかけてくる。
「変わった人なんですね」
「吾輩は普通だ」
「普通っていう人は、大抵普通じゃないんですよ♪」
女子高生の言葉は真をついている。大体、物語でもそうである。普通の高校生・・・。とんでもない、才能持ってたり、危ない奴が普通と呼ばれる。どう考えても、常人ではない。
お店から出る帰り際、女子高生が話しかけてくる。
「また・・・いらっしゃいますか?///」
「・・・来るよ。好きだからな、いちごぱん」
「はい!!お待ちしております♪」
バイトのくせに何故そんな笑顔ができる。低賃金でこき使われている。奴隷根性というものが芯まで伝わっているのか・・・。ただ、いい営業スマイルだ。0円で奉仕する。
帰り道セバスチャンが話しかけてくる。
「旦那、お話しできましたね♪」
「べ、べつに、気にしてないんだからねーーー!!///」
「・・・ツンデレですか・・・」
吾輩は屋敷への帰り道をひた歩く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます