新たな登場人物紹介 その他の人物
●スクリムジョー ※すでに故人
ダニエルの父が領主をつとめるアリスの町の城につかえていた老教師の男性。
かなり高齢であったらしいが、詳細な年齢ならび、容姿については不明。
木のゆりかごに揺られて浜辺へとたどり着いた、まだ赤子のヴィンセント・マクシミリアン・スクリムジョーの育ての親でもある。
※実を言うなら、第3章「―11― ヴィンセントは一足先に」で、ヴィンセントと旅の踊り子メグのピロートーク中にも、老教師・スクリムジョーの存在はすでに登場していた。
ヴィンセントは彼について、「数年前に冥海へと旅立ちましたが、素晴らしい男性でした。」とメグに話していた。
もし、アポストルからの第1回目の啓示にあったように、「すでに、全ては紡がれている」のだとしたら、”ヴィンセントを木のゆりかごに乗せた者”は素晴らしい老教師スクリムジョーにヴィンセントが拾われ、彼の元で成長していくことまでも分かっていたのかもしれない。
スクリムジョーの教育の元、ヴィンセント自身のもともとの資質や美貌もあったとは思うが、現在のヴィンセントはこれでもかというほど文武に優れ、貴族もかくやというほどの気品を持つ男性へと成長している。
ダニエルの母・エヴァが「ヴィンセントが自分の息子だったら」と思っていたほどに。
だが、老教師スクリムジョーが息子・ヴィンセントに性教育だけをしなかったか、もしくは性教育をし過ぎたのか、今となっては分からないが、少年の頃よりヴィンセントは、彼より年上のある程度、男を知っているような年齢の女と数々の浮名を流し続け、今、現在に至る。
●ケヴィン・ギャレット・カーシュ ※本編に直接の登場はなし
アリスの城に”仕えていた”兵士の男性。
詳細な容姿ならび年齢については不明。だが、作中には「大の男であり体格のいいいカーシュ」という風に表現されていることより、体を使い生計を立てている兵士らしいガッシリとした体格であることが分かる。
「影生者」の兄妹をアリスの城の領主夫妻に紹介した人物。
だが、その「影生者」の兄妹は、ジョセフ王子に対して詐欺を働き、アリスの城の領主夫妻の顔を叩き潰した。そのうえ、アリスの城の高価な調度品を幾つか盗み、カーシュの前からも行方をくらました。
カーシュは悪党な「影生者」たちの悪事に協力したか、それとも”協力させられてしまった”かは、作中ではまだはっきりと書かれていない。
だが、アリスの城の領主夫妻に呼び出され、詰問された彼が「寝耳に水」といった状態だったらしいことから推測すると、彼もまた「影生者」の兄妹たちに一杯食わされたのだろう。
ちなみに、この詰問時、カーシュは領主ヘンリー・ドグ・ホワイト(ダニエルパパん)よりも、彼の妻であるエヴァ・ジャクリーン・ホワイト(ダニエルママン)の方に恐れをなしていた模様だ。
弁解の余地も与えられず、カーシュは即日解雇となり、失業してしまった。その後の彼の行方については、作中に記載なし。
けれども、彼の名前が「ある兵士」または「兵士その1」という表現ではなく、「ケヴィン・ギャレット・カーシュ」というフルネームで登場ということは……これから先の展開で彼が登場する可能性が非常に高いということだ。
●団長 ※すでに故人。トレヴァーの回想にて登場。
1年ほど前までトレヴァーが用心棒として属していた旅一座の団長。
深い海を思わせるような青の瞳、白と灰色が混じりあった頭髪。詳細な体格についての描写はなし。
彼は非常に特徴的な酒やけをしたような声であったものの、酒などは滅多に飲まず、この声は持病ともいえる咳の病が原因であった。
年はまだ50手前ぐらいかとトレヴァーは推測していた。(本人からはっきりとは聞かなかったらしい)
家族がいたとの描写もないことから、おそらく生涯独身であったに違いない。
この団長は、気が荒いわけでもなく、かといって無口なわけでもなく、生まれ持った魔導士の力に加え、常識や良識はきちんと持ち合わせつつ人生を紡いできた、いわゆる善良な中年の男であったと、トレヴァーは今でも思っている。
春のあの日、デメトラの町で「ビアンカ殺人事件」が起こる直前、彼が感じ取った”人の形はしているが人ではない者だ。何かの間違いで人の器に入ってしまった禍々しい死の匂いを孕んだ、空虚な何か”は、間違いなく悪魔のごときマリア王女のことである。
「ビアンカ殺人事件」より数か月後、彼は大多数の人間の寿命から考えると短い生涯 を閉じた。
眠っている間に亡くなったのだろう。
自分の死期すら予測し、”中途半端であるがゆえに、上にも行けず下にも行けない人生を歩む者もいるが、それも人の数だけある様々な人生の一つ”かもしれないと、自らの運命を呪いながらも受け入れた彼のその死に顔は、どこか安らかであった。
団員たちが涙にくれるなか、彼の遺体は火にくべられ、彼が生前にトレヴァーに託した遺言通り、風へと運ばれていった。
彼は、魔導士として身を立てれるほどの力の持ち主ではなかったが、彼の危険を察知する第六感なるものは普通の人間より遥かに優れており、彼のおかげで旅一座は今まで危険(旅一座に対して、強盗や強姦を企む者の敵意)を避けて通ることができていたのだ。
そして、彼は未来の欠片を幾つか掴むこともできていた。
以下は、彼がトレヴァーに伝えた言葉である。
「……本当に近い未来のことだ。お前は数奇な運命の船に乗るだろう。今のお前からは、とても信じられないような……偶然のようであるが、幾つもの必然の出会いが待っている。その出会いには何か、俺たちが住む世界とは異なる世界の魂も絡み合ってくるようにも”感じるんだ”」
(第4章 ー16ー 出港(2))
彼の言う通り、トレヴァーは信じられないような数奇な運命をたどりつつある。
偶然のようでいて必然ともいえる”希望の光を運ぶ者たち”との出会い、そして本来なら雲の上の人である国王や王子殿下にも謁見し、さらに異なる世界で生を受けたレイナとともに、文字通りユーフェミア国の民を救わんとする船に乗って海へと繰り出していくのだから……
※ちなみに、団長は以下のこともトレヴァーに伝えていた。
「お前がこれから先の長い人生を生きる時、”しばしの間”同じ船に乗っていた一人の男が、こんなことを言っていたと時々、思い出してくれればいいさ」
(第4章 ー16ー 出港(2))
「お前は本当に女だけでなく、子供にも好かれる体質だな。きっと自分の”子供たち”とも、うまくやっていけるさ」
(第4章 ー16ー 出港(2))
彼の言葉から推測すると、トレヴァーは長命であり、複数の子供に恵まれるということであろうか?
●ライリー・ステラ・サットン ※トレヴァーの回想に名前のみ登場
トレヴァーの元恋人の女性。
1年ほど前までトレヴァーが用心棒として属していた旅一座の踊り子の女性。
トレヴァーとは同い年。ということは、彼女も今は20才ということか。
彼とトレヴァーは、互いにけじめはきちんとつけ、団員たちの前で時と場所をわきまえずに、いちゃつくなどといったことは絶対にしなかったが、彼女とは”子供ができていてもおかしくないぐらい深い付き合い”をしていた。
詳細な容姿についての描写はないが、トレヴァーが彼女の体つきを「女らしいゴージャスな肉体」と記憶していることにより、わりと長身で迫力のあるナイスバディの持ち主なのかもしれない。そして、踊り子として生計を立てられるぐらいだから、容姿も並よりかは上に違いない。
そして、彼女についても、前々項の”ケヴィン・ギャレット・カーシュ”と同じく、「トレヴァーの元恋人」または「トレヴァー元カノ」などといった表現ではなく、「ライリー・ステラ・サットン」というフルネームで登場ということは……これから先の展開で彼女も登場する可能性が非常に高いということだ。
●トーマス ※アダムとサミュエルの会話にのみ登場
59年前、いや、あと幾月もすれば60年前になってしまう「神人殺人事件」の被害者。
サミュエル・メイナード・ヘルキャットをはじめとする悪しき魔導士たちに殺され、その死肉を取り込まれた(食べられた)神人の男性のうちの1人。
詳細な容姿や年齢についてはまだ不明。
だが、神人の特性として、程度の違いはあれど揃いも揃って美しいこと、そして体力と美しさともに最高潮のところで肉体の時が止まってしまうことからして、トーマスも”若く美しい男性”の姿をしていたと推測される。
サミュエルたちに死体損壊され、食べられた彼ら。
そして、残った骨すらも命の尊厳など微塵もなく、悪しき魔導士の道具として今もなおフランシスたちが乗る「神人の船」の部品の一つとして利用されている。
あの神人の船は、フランシスたちが魔力で動かしていたのではない。空中浮遊の特性を持つ、神人たちの骨が埋め込まれており、それによって動かされていたのだ。
空という大海原に浮かぶあの船からは、風を斬る音ともに、神人たちの断末魔の悲鳴が聞こえてくるのだろう。
※アダムは、魔導士の少年・ネイサンが乗っていたあの木の板から、トーマスをはじめとする殺された神人たちの無念の思いをしっかりと感じとっていた。
だが、ここで少し矛盾が生じる。
魔導士フランシスのことだ。
”本来の彼”がこの世に生を受けたのは、今より160年ほど前であるとのサミュエル談。
だが、「神人殺人事件」が発生したのは、今から59年前……
ということは、フランシスはそれまで一体、どんな方法であの姿のまま、生を紡いでいたのだろうか?
●オリー ※アダムとサミュエルの会話にのみ登場
神人トーマスの息子。
まだ3才ぐらいであったらしい男の子。トーマスは、実は子持ちであったことも判明。
どうやら、サミュエルの話を聞いた限り、オリーはサミュエルたちに殺され、食された被害者の中にはいないようである。
あの59年前の「神人殺人事件」で、彼はサミュエルたちの最初の攻撃によって吹き飛ばされたため、骨も肉も残らなかっただけではないかと、加害者であるサミュエル自身も推測しているが……
●エマヌエーレ国に在住中のある魔導士 ※アダムをさらに絶望の底に突き落そうとした、陰険なサミュエルの会話に登場
サミュエルがアダムをボコボコにした、第4章「ー13ー サミュエル・メイナード・ヘルキャット(5)」にてサミュエルの会話に出てきた魔導士。
年齢ならび詳細な容姿は不明。
だが、神人の肉をこの魔導士も間違いなく食べていると思われるから、食べた時でこの魔導士の肉体の時間も止まっていると推測されている。
59年前の「神人殺人事件」では、フランシスやサミュエルと行動をともにしていたらしいが、今はまったく付き合いがないらしい……というか、あのサミュエルにすら「あまり関わりたくない」と言わせている。
”昔から大した理由も計画もなく、思い付きでとんでもないことする奴で、あんな毒薬を身近に抱えておくのは、精神衛生上良くない”や”大して実力もないのに自分こそは優れた存在だと思い込んでいる大勘違い野郎”とも――
アダムがジェニー以外の家族を全て失った十数年前のあの”天災”(そうアダムは自分に言い聞かせるしかなかったあの悲劇)は、エマヌエーレ国に在住中のある魔導士の仕業であったと……
●ジム(ジェームス)
●ルイージ
●ランディー
第4章の最終話「ー18ー 出港(4) ~港町の酒場におけるペイン海賊団の構成員たち~」にて、尺をまるまる使って登場したこの3名は、悪名高き「ペイン海賊団」の構成員たちである。
彼らについて、詳しくは第5章の「主な登場人物紹介 ペイン海賊団の皆さん」を参照ください。
●ナディア (2017年5月23日追記)
今より約200年前、フレディが戦場へと赴く前、仲間とともに行った娼館で出会った娼婦。
フレディが言うには、彼女は彼より少しだけ年上のようで、典型的な美人というわけでもなかったが、アッシュブロンドを腰まで垂らした、まるで妖精のような不思議な存在感のある女性だったとのこと。
フレディは彼女を抱いた(いや、むしろフレディが彼女に導かれたのかもしれない)夜のことを今でも忘れることができない。
もうこの時代には生きてはいないナディアは、今もなお、フレディにとっては慈愛に満ちた女神のような存在であるのだろう。
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