★特別付録その1★ 河瀬レイナの魂 移動記録

 本作品の主人公 河瀬レイナの魂の第3章までの移動記録です。

 ネタバレを含んだあらすじ紹介でもあります。

 ※異世界においての町の名は、なぜか女性名となっています。



【1】現代日本 

   (第1章―1―)


 受験に失敗し、欝々とした日々の中にあっても、”自分”の人生が突如、終わりを告げることなど、全く想像していなかったレイナ。

 けれども、新歓コンパで朝帰り中の男子大学生の暴走運転(しかも酒酔い運転)によって、車とブロック塀に惨たらしく押しつぶされたレイナの肉体は突然で理不尽な「死」を迎えてしまった。


 レイナが事切れたまさにその瞬間、異世界のアドリアナ王国で魔導士・アンバーが「星呼びの術」を行っていたため、レイナのその魂だけが時空を越えに越えた異世界へと呼び寄せられることに。



【2】アドリアナ王国 首都シャノン

   (第1章―2― から 第1章―3―の途中まで)


 凍えるように冷たい空気が漂うなか、目を覚ました”レイナの魂”であるが……

 目の前に見知らぬ西洋系の美男美女(ジョセフとアンバー)や黒衣に身を包んだ多数の者たちに驚く。

 そのうえ、もっと驚くことに自分のすぐ近くに明らかに他殺体である男性の死体(※)が転がされてたため、大絶叫。

 ※のちにこの男性は、魔導士・フランシスであると判明。


 その後、城の一室に閉じ込められた(ジョセフとアンバーはレイナを保護するつもりであった)レイナは、自分が全くの他人の肉体の中にいることを知る。

 自分の魂は、超絶世美少女でありアドリアナ王国 第一王女 のマリア・エリザベスの中にあるのだと――


 恐怖と混乱、そして元の世界の元の肉体に帰れないという絶望に、部屋の中でただ1人泣き喚き続けるレイナ。

 だが、そんなレイナの元に、”マリア王女に恨みを持つ”侍女・サマンサが刃物を手に殺す気満々でやってきた。


 レイナは必死でサマンサと格闘するも、劣勢に追い込まれる。

 二度目の死を覚悟したレイナであったが、自分の魂が入っている肉体が光に包まれていき……


☆レイナが首都シャノンで出会った人物☆

 ・ジョセフ・エドワード 

 ・アンバー・ミーガン・オスティーン

 ・フランシス(の死体)

 ・マリア・エリザベス(の肉体)

 ・サマンサ・アンジェラ・ベル

 ・カール・コリン・ウッズ  注)

 ・ダリオ・グレン・レイク  注)


 注)レイナがカールとダリオの名前と存在を知ったのは、後のこととなる。だが、城に仕える魔導士である彼ら2人もレイナの魂が「星呼びの術」によって、この世界に呼び寄せられた現場にいたことが、後々判明。



【3】アドリアナ王国 デブラの町

   (第1章―3―の途中 から 第1章―7―の途中まで)


 サマンサから逃れることができたレイナであったが、彼女の切なる願いが叶い、元の世界の元の肉体に帰ることわけではなかった。

 レイナは、アドリアナ王国の首都シャノンより遠く離れた、このアドリアナ王国の最北部に位置する小さな町、デブラへと移動していたのだ。 注)


 注)この不思議現象の原因としては以下のことが考えられる。

 「星呼びの術」を使用してからの約7日間は、魂と肉体がまだ完全になじみ込んでいないため、そこに衝撃を与えられると、その肉体が本人の意思にかかわらず消失ともいえる形で他の場所に移動してしまうらしい。


 屋外の冷たい雪の上で気を失ったまま、あうやく凍死するところであったレイナだったが、突発的に尿意をもよおして外に出てきた青年・ルークに偶然に発見され、温かな宿の中へと保護される。


 温かな部屋で目を覚ましても、レイナの混乱と恐怖は続く。

 そのなかにおいて、宿の女将と宿で働く少女・ジェニーに、異世界にきて初めての”安らぎ”を与えられる。

 だが、その安らぎは”本当にわずかな間の安らぎ”であった。

 なぜなら、レイナの魂――いや、マリアの肉体がこの宿にいることをいち早く嗅ぎ付けた悪しき者たちの襲撃の手がすぐ近くまで迫っていたのだから……


 悪しき者たちの襲撃に、パニック状態に陥る庶民的な宿。

 魔導士・フランシス、人形職人・オーガスト、そして――本当のマリア王女(彼女の魂はオーガストが作った人形の中にある)が、レイナの前に現れ、レイナの魂を追い出そうとする。

 けれども――

 たまたま、この宿に泊まっていた3人の青年 ルーク、ディラン、トレヴァーが勇敢に、レイナとジェニーの救出を試みる。


 そして、首都シャノンからも、瞬間移動でジョセフとアンバー、少し時間をおいてカールとダリオも現れた。

 

 ジョセフとアンバーたちの到着にも、余裕の表情を保ち続けていた気味の悪いフランシスは、ジョセフに敬意? を示し、マリアとオーガストを連れて一時退却。

 幸運にもレイナだけでなく、ルークたちも殺されずにすんだ。

 だが、彼に連れられ、退却するしかなかったマリアとオーガストは非常に悔し気ではあった。


 取りあえず、自分の命が繋がったことに安堵するレイナの前に、間髪入れず今度はまばゆい光がパアッと現れた。

 そのまばゆい光の中にいたのは、蜂蜜色の巻き毛と黄金色の瞳をした、大変に愛くるしい少年であった。

 

 後にゲイブと名乗った愛くるしい少年は、手紙を手にしていた。

 ゲイブが持ってきた手紙は、どうやらアポストル(※)からの啓示であるらしい……

 ※アポストルとは、死してこの世界の精霊となった魔導士のこと


 その後、ゲイブはすぐに消えてしまったため、紐解くことができない謎がたくさん残された状態であったが、ジョセフとアンバーはアポストルからの啓示に従うことを選択した。

 そう、手紙に書かれていた以下の2つのことに従うと。


①悪しき魔導士フランシスとの戦いは、アリスの町にある山の麓にて行うこと

②その戦いの場に、この部屋にいる3人の平民の青年、ルーク、ディラン、トレヴァーを同行させること


 アポストルの手紙によれば、たまたまこの宿に泊まっていただけのルーク、ディラン、トレヴァーの平民の青年は、やがて英雄となるらしい。


 レイナはアンバーたちに保護され、そしてルークたちはジョセフの命令と多額の報酬によって、アリスの町へと移動することとなった。


☆レイナがデブラの町で出会った人物☆

 ・ルーク・ノア・ロビンソン

 ・ディラン・ニール・ハドソン

 ・トレヴァー・モーリス・ガルシア

 ・ジェニー・ルー・タウンゼント

 ・宿の女将さん

 ・(生きている)フランシス

 ・マリア・エリザベス(の魂)

 ・オーガスト・セオドア・グッドマン



【4】アドリアナ王国 アリスの町

   (第1章―7―の途中 から 第3章―3―の途中まで)



 ジョセフ、アンバーとともに馬車に揺られ、レイナはアリスの城の領主の城へと着いた。

 そして、第3章にて出会うこととなる青年、ダニエル・コーディ・ホワイトの3人の家族たちと、晩餐の場を迎えた。

 慣れぬテーブルマナーと、ダニエルママンの迫力にビビりながらも、隣に座るジョセフの助けもあり、何とか晩餐の場を取り繕うことができたレイナ。


 その後、城の部屋へと通されたレイナは、ジョセフとアンバーより、自分がこの異世界へと呼び寄せられた経緯、そして”マリア王女”についての話を聞くことに。

 この時にレイナは、自分の魂があるこのマリア王女の肉体に、アドリアナ王国 王妃エリーゼとの肉体連鎖の術がフランシスによって、かけられていることを知る。

(だから、マリアをただ暗殺するのではなく、肉体を保護し、その彼女の魂のみを肉体から追い出したのだ。その肉体に、偶然に自分が入ってしまうこととなったのだと)


 ちょうど同時刻に、あの3人の青年、ルーク、ディラン、トレヴァーも、これから自分たちが迎えるしかない予測のつかない未来への恐怖と希望について、話し合っていた。


 マリア王女が残酷趣味の色情狂、しかも人殺しであったことを知ったレイナは、リバースしてしまったものの、ジョセフとアンバーの話を最後まで聞く覚悟をした。



 幾晩の後に、絶対に直面しなければいけないフランシスとの決着に怯え続けるしかないレイナ。

 そんな時、部屋の外にいた魔導士のカールとダリオの話を立ち聞きしてしまう。

 彼らの話のメインは、ジョセフとアンバーがお互いに思いあっているということであった。


 ジョセフとアンバーが互いに抱いている信頼や絆、そしてともに紡いできたであろう時間の重みは、レイナにも分かるものであった。レイナは、アンバーが身分と慣例をも越えて、ジョセフの妃となり、彼とともにこのアドリアナ王国を治めていくのではと、考えずにはいられなかった。


 そして、戦いの前夜、レイナはアンバーと話をする。

 アンバーは、幼き頃からの自分の夢――”ジョセフ王子が王となったその傍らで、この命果てるまでこの王国に身を捧げること”をレイナに話してくれた。

 アンバーに抱きしめられたレイナの、あとたった1日だけの安らぎを残す、このアリスの城は深い闇へと包まれていった。



 ついに――

 青き月が隠れし夜、アリスの町の山の麓においての戦いの火蓋は切って落とされた。

(ちなみに、この戦いの尺は第2章をまるまる使用している)


 ややこしいので、以下のように順を追って、説明することとする。


(1) 決着の場となるアリスの町の山の麓には、レイナたちが先に到着


(2) フランシス、マリア(めかしこんで登場)、オーガストが遅れて到着


(3) カールとダリオが先手を打とうとするも、彼らの動きに気づいていたフラン

    シスによる素早い攻撃で、ダリオが負傷する


(4) フランシスが操る二匹の気の大蛇による攻撃により、レイナたち全員、あっ

    けなく雪に押し流されてしまった

    この時に、フランシスはアンバーを連れ去る


(5) 目を覚ましたレイナは、皆を雪の中より助け出そうとするも、マリアとオー

    ガストに捕らえられてしまう


(6) レイナより離れた場所にて、ルーク、ディラン、トレヴァーは幸運にも雪か

    ら這い出ることができ、カールとダリオにも合流することができた

    そんな彼らの前にジョセフ人形(製作者オーガスト+操縦者フランシス)が

    現れ、炎を吐いてくる


(7) オーガストに拘束され、マリアに魂が震えるほどに猟奇的な話を聞かされ続

    けていたレイナの元に、本物のジョセフが現れ、レイナを助ける


(8) フランシスが魔術によって作り上げたユートピア(今より100年以上昔の

    教会の中?)にて、アンバーが目を覚ます

    この隔離された空間に、フランシスと2人きりとなってしまったアンバー

    は、彼の長ったらしい話(不気味な計画を彼はアンバーに話したかったらし

    い)を途中で遮る


    アンバーはフランシスの魔術により、以下の映像を見せられる


   ①時間稼ぎのためのジョセフ人形であったが、ルーク、ディラン、トレヴァー

    の3人の青年によって、予定より早くに倒された

   

   ②カールとダリオが、ジョセフ王子やレイナ、そして自分を探してくれていた

    が、彼ら2人がフランシスを変質者呼ばわりしたため、フランシスが憤慨

   

   ③本物のジョセフが、本物のマリアを捕らえようと……


   フランシスの隙をつき、アンバーはフランシスの作り上げた空間(彼だけのユ

   ートピア)から、脱出する

  

(9) ジョセフは自身の手でマリアを殺そうとしたが、人形の身である彼女を殺す

    ことはできなかった

    レイナ、ジョセフ、そしてジョセフをおちょくるマリアの前に、フランシス

    の手から逃れることができたアンバーが現れる


(10)形勢は逆転しつつあったが、青筋を立て始めたフランシスに、レイナ、アン

    バー、マリアはどこか別の山の中へと拉致されてしまう


(11)フランシスの手によりアンバーが拘束され、レイナの魂は今度こそ本当に、

    マリア王女の肉体から追い出されそうに……


(12)だが、またしてもフランシスの隙をついたアンバーによって、レイナは助け

    られる

    そして、アンバー1人の力で瞬間移動を行い、フランシスとマリアより、逃

    げようと……


(13)けれども、4度目の瞬間移動ののち、フランシスに追いつかれてしまった

    堪忍袋の緒が切れる寸前のフランシスによる攻撃により、レイナは彼の操る

    気の触手によって拘束

    そして、アンバーは重傷を負わされたうえ、全裸にまでされてしまう


(14)アンバーの女体の美しさに見惚れたフランシスが、アンバーを犯そうとする

    このおぞましい光景に、レイナは泣き叫び、マリアは面白がって笑っていた


(15)フランシスがアンバーの清らかな肌に触れようとしたその時、ジョセフ、カ

    ール、ダリオの3人の助けがきた


(16)ジョセフに凄まじい力で殴られ、フランシス吹っ飛ぶ


(17)アンバーはジョセフの腕の中へと助けられた

    フランシスはジョセフと男としての決着をつけるため、ジョセフとアンバー

    を引き離す


(18)ジョセフ、カール、ダリオ vs フランシス

    フランシスは余裕をぶっこき、この期に及んでもジョセフを挑発しまくる


(19)こうして男たちが戦っている時、フランシスに「大人しくしていろ」と言わ

    れたマリアが、錆びた剣を手にして……


(20)マリア アンバーを刺す


(21)ジョセフの腕の中で、息を引き取ったアンバー

    彼女の最期の言葉は、ジョセフへと伝えることができず、ただ白い息が舞っ

    ただけであった

    それは彼女の心臓が懸命に立てた最後の鼓動と同時であった


(22)アンバーの死に狂喜するマリア

    だが、その時、事切れたはずのアンバーの肉体が光に包まれ出した


(23)アンバー アポストルとなる

    本来なら土へと返るはずの彼女の肉体は、その清廉な魂とともに風の棺に運

    ばれていった

    彼女は”この世を守る大きな存在”になったのだ


(24)馬を走らせ、駆け付けようとしていたルーク、ディラン、トレヴァーも、ア

    ンバーがアポストルとなりゆく時に発した美しい光を目撃することに


(25)フランシス、自分の計画に必要なアンバーをマリアが殺してしまったことに

    ブチ切れ、マリアをその魂ごと八つ裂きに

    この時ばかりは、マリアのご自慢の美貌も色目もフランシスには通用しなか

    った


(26)その魂すら、フランシスに消滅させられそうになっていたマリアを、オーガ

    ストが間一髪助け、彼女の魂のひとかけらを手に走り去る(※)

    (※)ジョセフに殴られ、雪のうえで伸びていたはずのオーガストをこの場

       まで移動させたのは、少年魔導士・ネイサンであったと後ほど判明


(27)夜が明ける

    フランシス、一時退却を表明し、消える


(28)アンバーの死に涙を止めることができないレイナ、カール、ダリオは、ジョ

    セフを残し、アリスの城への帰還の列に加わった

    帰還の道筋に力尽きたように進むレイナ、そしてカールとダリオの元に、ア

    ンバーの最期の地に1人残ったジョセフの吠えるような慟哭が響いてきた

    


 アンバーの存在は、レイナにとって正義の象徴ともいえるものであった。

 悪しき者たちに勇敢に立ち向かい、そして最期の時までも自分の名を呼びかけるジョセフに懸命に答えようとしていたアンバー。

 そして、悪の象徴ともいえるマリア王女は、灰となり魂のひとかけらを残し、風に運ばれていった。




 アリスの町の山の麓での戦い後、マリア王女の肉体で自分の魂の物語を紡いでいくこととなったレイナは、ずっと泣き続けていた。

 なぜこの王国に必要な者となったに違いないアンバーではなく、自分のような者が助かったのかと、重く哀しい十字架がレイナにのしかかってきていた。


 ジョセフに呼び出されたレイナ。

 わずかに時間をおき、ルーク、ディラン、トレヴァーの3人の青年も同じ部屋へとやって来た。


 その時、ゲイブが現れる。

 彼はまたしても、アポストルからの手紙を手に持っていた。

 二度目の手紙の内容とは……


①既に紡がれている物語はまだ続くということ

②ルーク、ディラン、トレヴァー、レイナの4人に、このアリスの町から南へ進み、

 2人の男(アダム・ポール・タウンゼントとヴィンセント・マクシミリアン・スク

 リムジョー)をたずねろということ


 前回より滞在時間が伸びていたゲイブであったが、やっぱり消えてしまった。

 

 手紙に名前が書かれていた以上、自分にも何かできることがあるのだ、そして何か意味があるのだと、レイナは自分自身を信じようとした。

 アンバーの遺品となったノートを胸に、レイナはルーク、ディラン、トレヴァーの3人の青年とともに、ここより南の町のリネットの町へと向かうことを決意した。

    

☆レイナがアリスの町で出会った人物☆

 ・ヘンリー・ドグ・ホワイト

 ・エヴァ・ジャクリーン・ホワイト

 ・サイモン・ラルフ・ホワイト

 


【5】アドリアナ王国 リネットの町

   (第3章―3―の途中 から 第3章―7―の途中まで)



 リネットの町で地道な聞き込みを行ったが、リネットの町で掴むことができたのは、ヴィンセントについての噂だけであり、1人のアダムについては、さっぱりであった。

 しかも、ヴィンセントについては、超絶に美しい男であるがすけこましというあまり芳しくない評判であった。

 あともう1日だけ、このリネットの町で聞き込みを続けることを決めたレイナたちのすぐ近くのテーブルに、ダニエル・コーディ・ホワイトが座り、聞き耳を立てていた。


 町を歩くレイナたちは偶然に、あのデブラの町の宿の少女・ジェニーに再会する。

 そして、アダムが彼女の祖父であることも知る。

 とりあえず、アダムが住むアレクシスの町に行くことを決めたレイナたち。


 レイナがジェニーと同じ宿の部屋に泊まった夜、窓から侵入者が……


 ジェニーのホラー映画のヒロインばりの大絶叫は、レイナの鼓膜を震わせ、近くの部屋でグーグーと寝息を立てていたルークたちのみならず、同じ宿に泊まる過半数の者を覚醒させる。


 侵入者はヴィンセントであった。

(彼は猥褻目的ではなく、自分を呼ぶ者がこの部屋にいるような気がしたと言っていた。魔導士でもないのに不思議なことを言う男である)


 ヴィンセントに今までの経緯を話すレイナたち。

 後日のヴィンセントとの再会の約束をすることができた。この後、ヴィンセントは同じ宿に泊まっていたメグという女性の部屋に行き、彼女と約1年ぶりにセックスした模様。


 数日間、リネットの町に雨が降り続いたたため、レイナたちは足止めをくらう。

 朝、1人で宿の外に出たレイナの前に、オーガストが現れた。

 オーガストより、マリア王女の魂が完全に消滅していないことを知る。

 ルークが助けにきてくれた。が、それと同時に新たな魔導士・ヘレンが現れ、ルークを酸の影で焼き焦がそうとした。

 間一髪、ヘレンの攻撃を避けたルーク。

 騒ぎによって目を覚ましたらしき近所のおじさんに、「喧嘩ならよそでやってくれ」で、レイナ、ルーク、オーガスト、ヘレンは注意される。

 ヘレンはためらいも見せず、全く無関係なこのおじさんを殺そうとした。


 だが――

 突如、物陰より走り出てきた黒髪の青年・ダニエルによって、おじさんは助かった。


 おどおどしていて挙動不審なダニエルであったが、自分も同行させてくれと、ルークたちに頼む。


 いつまでもこのリネットの町にとどまっているわけにはいかない。足場はまだ少し悪いが、雨は止んでいる。こうして刺客も動き出したことだし、一刻も早く、アレクシスの町に行くべきであると、レイナたちは顔を見合わせ、頷いた。



☆レイナがリネットの町で出会った人物☆

 ・ヴィンセント・マクシミリアン・スクリムジョー

 ・ダニエル・コーディ・ホワイト

 ・ヘレン・ベアトリス・ダーリング

 ・メグ・ドゥリーン・ハリス

 ・「喧嘩ならよそでやってくれ」と注意したおじさん

 ・アレクシスの町まで馬車を走らせてくれたおじさん




【6】アドリアナ王国 アレクシスの町

   (第3章―7―の途中 から 第3章―14―まで)


 馬車から下り、徒歩でアレクシスの町の外れにあるアダムの家へと向かう、レイナ、ルーク、ディラン、トレヴァー、ダニエル、ジェニー。

 話の流れにより、ダニエルが元貴族(本来ならアリスの城の次期領主)であることが判明し、少し空気が凍りつく。


 身を震わせる不気味な冷気が、アダムの家に近づくにつれて、濃くなっていく。


 まさか、フランシスたちが先回りしてアダムを……とアダムの家に足を踏み入れたレイナたちは、白いシーツをかけられた1人の青年の遺体が見つける。

 その青年の白いシーツが風に飛ばされ、何も身に着けていない青年の×××が見えそうになり、レイナは大絶叫をしたジェニーとともに、家の外へと逃げる。


 ジェニーの悲鳴を聞いたアダムがルークたちの前に現れる。どうやら、彼はあばらが痛み、奥の部屋で休んでいただったらしい。

 が、その時、空に2人の新たな刺客が現れた。

 

 新たな刺客は、少年魔導士・ネイサンと武闘派レディ・ローズマリーであった。

 まずはパワー系のネイサンがその気を放出し、アダムとジェニーの家を崩壊させる。


 外にいたレイナとジェニーはとっさに身を伏せたために無事であり、ルーク、ディラン、トレヴァー、ダニエルもアダムが危険を察知してとっさに張った気の結界により、助かった。


 両手に剣を手にして飛びかかってくるローズマリー。

 ルーク、ディラン、トレヴァー、ダニエルは、超武闘派の彼女にしばかれ、どつきまわされる。

 だが、ローズマリーが一番の獲物ととらえたのは、自分より逞しい肉体を持つトレヴァーだった模様。


 ネイサンは自分の一番の獲物としてとらえたアダムを挑発。

 ネイサンは、無邪気に荒らし破壊したこの地に、二度目の滅びへ向けての気を全力投球。

 だが、アダムの力によってレイナたち全員守られる。


 アダムの反撃。

 ネイサン、ローズマリーに肝っ玉母さんに子供のように抱えられ退却。これは彼にとっては相当に恥ずかしかったろう。


 アダムとジェニーの再会。そして、皆の傷の手当。

 だが、その時、死んでいたはずの青年が起き上ったのだ。


 青年の名は、フレデリック。

 このフレデリック――フレディは、今より200年前、アドリアナ王国が戦火に包まれていた時代に生きていた騎士である。

 どういった理由かは分からないが、魔導士に術をかけられ、その肉体だけでなく、魂までも氷漬けにされ、地中へと埋め込まれていた。肉体が滅びても、その魂は生まれ変わることを許されなかった。

 彼と同様の陰険な呪いをかけられた騎士は、彼の他に6人にいた。

 アダムは一冬に1人のペースで、彼らの魂を解放し、冥海に送っていたらしい。


 アレクシスの町の中心部の宿に泊まり、ヴィンセントを待つレイナたち。

 アダムとジェニーは、家を崩壊させられたため、宿に仮住まいするしかない状況であった。


 ルークたちはヴィンセントが服を残して行方不明となっていることを知る。

 そのうえ、アダムからは一緒に行動することを断られてしまう。


 その時、首都シャノンより、カールとダリオ、そしてなぜか囚人のように拘束されたヴィンセントが光とともに現れた。


 ヴィンセントがこのような状況で現れた理由は、「アレクシスの町にいたヴィンセントが今朝、目覚めるとジョセフ王子のベッドの中にいたから(それも下の肌着だけを身に着けた姿で)」であり、「そのことにより慮外者だとの疑いをかけられ、拘束されたから」であった。


 同日の夜、カールとダリオへの経過報告の場であり、カールとダリオからの経過報告の場ともなる晩餐の場が設けられる。



 数日後、アダムとジェニーの家の後片付けをしようと彼らの元に、レイナ、ルーク、ディラン、トレヴァー、ダニエル、ヴィンセント、そしてカールとダリオ、フレデリックの10人が駆け付ける。


 フレデリックは手紙に名前は書かれてはいなかったが、自分自身、そしてともに命を断ち切られた6人の仲間の無念と心残りを引き継ぎ、このアドリアナ王国のために身を捧げたいという強い思いによって、ルークたちとともに首都シャノンに向かいたいとの決意をした。


 そして、一度はアダムまでも自分たちと行動をともにすると。

 彼のその理由については、まだ不明であるが、少年魔導士・ネイサンが乗っていた古びた木の板(空に浮かぶという特性を持つ)が原因があるようであった。


 だが、アポストルからの手紙に書かれていた者は全て揃ったのに、ゲイブはまだ現れない。

 ゲイブを待つ者たちにレイナは自分なりの推理を話す。


①誰かを救わんとする強い意志。そして、自分自身を信じるということが必要であるのではいうこと。

②アダムとヴィンセントを探す過程において、仲間に加わることになった2人の青年――ダニエルとフレディも、必要な存在なののではないかということ。


 円陣を組み、心の中でゲイブを呼ぶ ルーク、ディラン、トレヴァー、アダム、ヴィンセント、ダニエル、フレディ。

 レイナの推理は見事に当たっており、ゲイブは現れた。

 その紡がれゆく時という物語のなかで、1人1人が確固たる意志を持ち、助けを必要とする者たちへ希望の光を運ばんというその思いが、こうして確かにゲイブを呼んだのだ。


 そして、ついにアポストルからの3回目の啓示が行われる――

 啓示内容については、次章で明らかとなる。

 

 なお、第3章においては、フランシスは直接レイナたちの前に姿を現してはいないが、時々のぞき見をし、コメントをしていた。


☆レイナがアレクシスの町で出会った人物☆

 ・アダム・ポール・タウンゼント

 ・フレデリック・ジーン・ロゴ

 ・ネイサン・マイケル・スライ

 ・ローズマリー・クリスタル・ティーチ

 ・駆け付けた役人たち

 ・アダムの家の後片付けに来てくれた民たち

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