第12話 予備自衛官補 C・D その2

この課程では徒歩行進、所謂行軍も行いました。と言ってもたった10km、それも駐屯地の中を何周か歩くだけなので面白みがありません。行進の際には着替えや円ピ(携帯シャベル)などを入れた背のう(リュック)を背負います。しかしこの背のうがかなりの旧式で、背負いひもが単純な作りのため重さ以上に肩にきます。素材もトラックの幌のような物で出来ていましたね。


行進中は銃はつれ銃(負いヒモで右肩に背負う)で携行します。床尾が尻に隠れて銃口が真上を向くように背負わなくてはいけません。

「こら!ちゃんとせえ!」「銃口管理!」言われたとおりにしてない人は教官に怒鳴られます。



歩哨要領の訓練もしました。歩哨壕に二人一組で片足をくっつけて見張ります。見張る最中は互いに別の方向をどこを見ているか呼称しつつ行います。何か見つかった場合は有線電話で報告します。

「外哨長こちら第一歩哨壕…」

相手の移動した方向や装備品等を報告します。



また、予備自補の訓練受けていた時は季節入隊の自候生や曹になるための課程を受けている隊員がいてカオスでした。

「あの子達は本職になる人だから君らより厳しくやるよ」「すごい怒鳴るからね あと顔ぶつかるくらいの距離でガンつけたりするからね」うわあ陸さんこわ

後に他の幕で入隊したのはこの時の経験が理由の一つですね。

しかし曹になるための課程を受けている人達はもっとヤバい。ある朝に自分達が訓練している横をフル装備で駆け抜けて行きました。そして午後になってまた自分達の横を通って帰ってこられました。朝とは違い満身創痍といった感じです。

「おいこら○○!走れや!立てゴラア!」ヘトヘトになった隊員が教官に怒鳴られています。テレビで見たことあるよこれ

また別の日には

「お前ら!なんでこいつを置いていった!?」「貴様ら戦場でも仲間見捨てるんか?!!」「その場に伏せえっ!」

どうやら何かの準備が終わらない班員を1人置き去りにしたらしく連帯責任で罰を受けていました。リアルで見るとは思いませんでした。まあ予備自補の時に自分達も罰受けましたけど彼らと比べたら鼻くそみたいなもんでした。


C・D課程を終えました。まだ課程はあるのですが自分の予備自補体験はこれにて終了です。半年後には刑務所暮らしですからね。今のうちに自由を実感したかったのです。

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