クローズド・サークル

 雪吹きすさぶ山奥の別荘。パチパチとはじける暖炉の薪。閉じ込められたのは、七人の男女、それから背中にナイフが刺さった男の死体。

 探偵を名乗る男は言った。

「犯人はあなた方全員を憎んでいるようだ。今夜はみんなリビングで眠りましょう。全員が同じ場所にいたほうが安全だ」

 ワシ以外の五人の男女はそれに同意する。

「殺人鬼と一緒になんていられるか! ワシは部屋に戻らせてもらう!」

 ワシだけがそう宣言した。他の人間が止めるのも聞かず、ワシは部屋に戻った。


 ……よし、これでいい。


 犯人はワシを殺しに来るだろう。ワシが囮になって殺人鬼を返り討ちにすれば、他のみんなの命が助かる。危険をおかすのはワシだけでいい。ワシは防御のために体のあちこちにガムテープで雑誌を巻きつけると、包丁を握りしめたままベッドで一晩中眠ったふりをして殺人鬼を待った。


 結局、朝になっても殺人鬼は現れなかった。しかし、やけに静かな朝だ。人の気配がない。

 気になってリビングへ行くと、探偵を含む六人の男女すべてが変わり果てた姿になって横たわっていた。暖炉には燃え残った大量の練炭が転がっていた。

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