第64話 時空超越体

 既知宇宙の外にたどりついた宇宙探検家がいた。

 その探検家からの通信が届いたことから、時空超越体を「因果の逆探知」で索敵した。

 そして、地球の座標と宇宙の外の座標、そして、目的地の座標、あと、もう一つ、地球周辺に座標(これは使いやすければ実はどこでもよい)の四点で位置座標装置を使った。

 既知宇宙の外が確認できたので、超ビビリなぼくも、規模を二つばかり小さくして、天の川銀河の探索でもするかと、行ってきた。

 座標装置は、四つの点によって描かれなければならない。時空を四次元だと想定して、時間の流れの歪みを探知しなければならない宇宙探索では、四点でなければならない。

 三つの点だけで座標を描く探検家は、みんな、平面の座標系を想定して三点で座標を表しているので失敗するのだ。位置座標装置は四点でなければならない。

 そして、ぼくは、天の川銀河探索に行って。天の川銀河の中心方向では物理法則が変わっていること、地球周辺の物理法則は天の川銀河の中心部では異なっていることを確認して、天の川銀河探索から十五分で帰った。

 探検家には向かない性格のぼくは、宇宙探索はまだ人類には百年早いという認識だ。

 そして、時空超越体を起点に構築された閉鎖系地球環境を、地球周辺の宇宙に隠した。そこがぼくがいちばん大事に隠した「楽園」である。人類の認知とは異なる素粒子によって構築された地球の重複構造世界だ。ちゃんと、五万人の人が楽園に暮らしている。二十一世紀には。その楽園が見つからないことを祈る。

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