第44話 法律の値段

 法律の値段は、無法地帯で生きていくことのできる掟の値段である。計算できるならしてみろ。

 社会や日常は、本来、大自然にもとづいた無法地帯に住んでいることを前提にする。無法地帯では、殺人や盗難を取り締まる警察はいない。人々は無法地帯に集団で秘密結社を作り、

秘密結社の掟によって互いを取り締まり、分業して生きる。

 法律は、無法地帯で生きるための掟である。男も女も、法律は嫌いなことが多いが、掟を作るゲームはみんな大好きだよ。

 法律の値段は、法律という掟が大好きな警察や検事や裁判官と戦う覚悟の値段だよ。


 ぼくからしたら、掟は選挙していない法律だ。

 「掟を守れ」というやつになら、「むしろ、それだけその掟が好きならおまえがもっと守れ」だ。


  法学冒険物語


 そもそも、おれが1000兆円を払って日本政府から買った法律なんて、その時の交渉は、

おれ:「その1000兆円の法律を10円で売ってくれ。ある女を救いたいんだ。そんなに好きでも、それをする行動力もないがよ」

公務員A:「だったら、一京円だ」

公務員B「わたしなら200億円」

おれ:「むしろ、一京円のあなたと交渉したい。その法律を1円で売ってくれ」

公務員C:「それなら20円だ」

おれ:「なら、20円といったあなたと交渉したい。0円で売ってくれ」

公務員C「よし、売ってやる」


 そして、その法律を守って戦って、ある女を救ったおれが、

「いや、あの法律を守って戦った方が自分で考えるより強かったぜ。さすが1000兆円の法律だ」

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