2014/9/24 Wed.

 翌日からも、銀路の鍛錬の日々は続く。

 

 ゲーセンで乃々の『レイディアントシルバーガン』のプレイを、家では藍華の『怒首領蜂』の火蜂戦プレイを、とにかく何度も見ることを主体に、銀路の特訓は進んでいった。


 見て覚える。


 それだけで銀路の中に確かな変化があった。


 他人のプレイ=攻略動画を排除していた銀路には、非常に新鮮な感覚だった。


 あれこれ考える前に、まず覚える。


 これまでは、自力攻略にこだわり、とにかく理屈で考えていた。

 あれこれ考えて検証しながら攻略を進めていた。

 まず考えて、それから記憶として保存する。

 己の記憶こそが全て、そんなやり方だった。


 だが、順番が変わった。


 乃々のアドバイスを元に、頭で考えるよりも前に動けるように意識しながら。


 見る。


 ちょっとした意識改革だったが、手応えを感じていた。見て覚えたことを確認するためにそれぞれのゲームをプレイして、段々と先に進めるようになっていくことも実感できた。


 確実に腕が上がった。


 でも、あと一歩でクリアに至れない。


 そんな状態で、銀路はその日を迎えたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る