第14話

「じゃあ何?」



かなが不満げに顔を歪める。



「事の始まりは、ある女の人が離婚をされて家を追い出されたのね」



「うん」



「それで子供を溺愛してたから、離婚しても子供を引き取りたいって言ったんだけど、裁判で負けちゃって連れて行けなかったの」



「へぇ~可哀想に」



かながあんまり可哀想じゃなさそうに相槌をうった。



「それからしばらくして、その女の人が病気になったのね」



「え? そんなの可哀想じゃん」



「うん。まぁ、でね。それがもう治らない病気で、どうしても最後に子供に会いたくて、会いに行ったのよ」



「うん」



「で、そのときに子供の髪の毛をバレないように持ち帰ったんだけど」



「何の為に?」



「それは知らないわよ」



いちいちくだらないツッコミを入れるかなに、亜希奈は面倒くさそうな顔をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る