真細舞子 〜マボソマイコ〜

「舞子ちゃんは1人で何でもできて羨ましいな」


 私は昔からそう言われてきて、私はそう褒められるたびに喜びを感じていた。


「何でもなんて出来ないよ」


 私が初めてそんな弱音を口に出したのは今から数年前、和水プロダクションの八代プロジェクトに所属して間もなくのことだった。


「ネーネー、舞子ちんだったよね? ワタシと一緒にレッスンしない?」


「タンパ―さん」


「ンー、タンちゃんで良いよ。皆はワタシの事をそう呼んでいるから」


「じゃあ、タンちゃん」


 そんな懐かしい過去を思い出しながら私はサウナに入っているタンちゃんを待った。きっと今日も2時間以上はサウナから出てこないのだろうと思いながら。



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