倉見モナ 〜クラミモナ〜



「梨ぃ奈ぁ」


 放課後、1人寂しく事務所へ向かっていた自称ボッチのわたしは初めてわたしなんかと友達になってくれた友土梨奈を見つけ、梨奈の名前を叫びながら飛びついた。


「あぁ、寄るな、寄るな。最近暑くなってきたのにくっつかれたら余計に暑くなる」


「ごめんね。そうだよね。わたしが勝手に梨奈の事を友達だと思っているだけで梨奈はわたしのこと迷惑だと思っているよね」


「もう、本当にモナは面倒くさいし迷惑な性格しているなぁ。モナと私は友達、フレンズでしょ?」


 たとえそれが嘘だったとしてもすごく嬉しい言葉を梨奈は言ってくれた。きっと嘘だとは思うけれど。


「まぁた、マイナスなこと考えているでしょ?」


「どうしてわかったの?」


 梨奈はよく、わたしの考えを当ててくる。その度にわたしはそう聞くが、梨奈は毎回


「友達だからそれくらい分かるよ」


 少し笑ってはぐらかす。


「凄いね、友達」


 わたしも梨奈とは友達のはずなのに。そう思うと少し悲しくなったが、梨奈がそっとわたしを小っちゃい胸の中に抱きよせて


「得意、不得意は誰にでもあるよ。私は人の気持ちを知るのがモナよりも得意なだけ。きっとモナもすぐに私の気持ちを知ることが出来るよ」


 と慰めてくれた。



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