御扇冬馬 〜ミオウギトウマ〜
4月21日
プロジェクトルームには常にアイドルの誰かが持ってきたお菓子が100円ショップで売っているようなかごの中に入れられて誰でも自由に食べて良いようになっている。ただし、今日に限ってはそのかごからお菓子が溢れ出してしまうほど積み重ねられていた。
「今日のお菓子は冬馬さんが持ってきたんでしょ?」
「よく分かりましたね。遠慮はせずに食べてくれていいですよ」
何故か瞳から光が失われていた御扇冬馬さんはかごに入りきらなかったために仕方なくテーブルの上に山積みに置かれている小袋に入ったグミを一袋ずつ開けては、ちまちまと食べながら大きな手で小袋をひと掴みして、押し付ける形で僕に渡してきた。
「あ、ありがとう」
「もっと欲しいって?」
「言っていないよ」
「まぁ、そんな事言わずに持って行ってくださいよ。好きなアニメの限定クリアファイルがこのグミ4個で1枚貰えるシステムなので、全28種類を保存用、観賞用、使用用、布教用で揃えるとなると、最低でも448個は必要で……」
「ちなみにここには何個あるの?」
「色んなところを探し回って452個買ったので一応、限定クリアファイルの入手という目的だけは達成しました。後は、後はこのグミを全て消費するだけなので、プロデューサーさん手伝ってくれますよね?」
コレクター気質があるのは随分と昔から知ってはいるし、毎回コンビニでアニメの限定クリアファイルが登場するたびに対象商品を買って回っていることも知ってはいたが、クリアファイルの為だけに108円で売られているグミをおよそ5万円分も費やすというのは僕にはまだ理解の出来ない領域だと思い知らされた。
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