運命建自由 〜ウンメイダテミユ〜

3月10日


 この日の事務所内はあるニュースで持ちきりとなっていた。


「どこを見てもめったに見ない新聞なんか広げちゃって、凄い騒ぎじゃん」


「自分の事だっていうのに他人事だね」


「俺は当たり前のことをしただけだからね」


 昨日、運命建自由さんは事務所を訪れる前にたまたま立ち寄ったコンビニエンスストアで白昼堂々行われたコンビニ強盗に巻き込まれた。


「ネットニュースで『実はドラマの撮影だったのではないのか?』なんて言われているみたいだよ」


「ドラマの撮影ならどんなに良かった事か。ただ助けただけで警察からあれやこれや聞かれるなんて、正しい事をしたのに犯人役を演じた時と同じ気分になったよ」


「現実はドラマほど簡単に物事が進まないからね」


 自由さんは以前ドラマで刑事役を演じる際に自主的に習ったという護身術を用いてナイフで店員や客を脅していたという犯人の手からナイフを払い落し、現行犯で捕まえたとのことだが、連絡を受けてやってきた警官にお褒めの言葉を含め近くの警察署で事件当時の話を聞かれたのだという。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る