源優加 〜ミナモトユウカ〜

2月15日


「いつまで落ち込んでいるのさ」


「花火、花火が……」


 昨日のバレンタインという忌々しい行事が理由で一切の業務が出来ない状態に陥ってしまっていた。


「心配ないよ。花火ちゃんとは昨日一緒にレッスンをしていたけれど、花火ちゃんはプロデューサー以外の男性とは一切関わっていなかったから」


「優加さんは昨日、花火と一緒にレッスンするにはスケジュールが合わないはずだけど」


 思考時間0秒で僕は源優加さんにそう返した。


「流石プロデューサー、こんな状態でも鋭いな」


「花火」


「いい大人がいつまでも落ち込んでいないでくれよ。なんだかんだでファザコンな花火ちゃんに父親以上に好意を抱く様な男性がいるとは思えないし」


「優加さん」


「あくまで仮定の話だけど。あっ、いい機会だから子離れしたら?」


「それは無理」


 優加さんの言葉で普段の冷静さを取り戻すことが出来た僕だったが、その提案に関してはきっぱりと断った。


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