三久侑莉 〜ミクユウリ〜

2月12日


 外部のスタジオで女性ファッション雑誌の撮影を行っていた三久侑莉さんとその付き添いで撮影を見守っていた僕は撮影が終わると時間に随分と余裕があるからという理由でそのスタジオから歩いて事務所へ帰ることにした。


「おっ! ゲーセン見っけ。プロデューサー、寄って良い?」


「少しだけだったら」


「は~い」


今どきの女子高校生らしくそんな軽い返事をした侑莉さんはスキップをしながらゲームセンターへ入ると、ゲームセンターと言えば定番のUFOキャッチャーや僕もよく花火に無理矢理連れられて利用する羽目になっているプリクラなどには全く目を向けず、女児向けアニメのゲーム機の前に置かれた椅子に座り込んでそのゲーム機に100円玉を投入し、自分のカバンから見ただけでレアなものだとわかる輝きを放つカードを複数枚取り出した。


「プロデューサー、すぐ終わるからね」


 僕は後ろからこっそりとゲームをしている姿を見せてもらったが、侑莉さんが迷うことなく選択してプレイした『むずかしい』ステージは花火が幼い時に同じようなゲームをプレイした経験のある僕がプレイしても難しくてクリアは出来なさそうで、侑莉さんのような中高生でも十分楽しむことが出来そうなゲームだった。

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